いらっしゃいませ

にほんご べんきょう してきて ください
いらっしゃいませ。ずっと試運転中です。予告なく変更しまくるつもりが仕様変更については手付かずです。

2014年12月26日金曜日

けーきだよ!全員集合。

こ理屈回した長文記事が続いたので、今回は短文目指します。お題はクリスマスケーキの感想文で毎度お馴染み流浪の巨人、ガルガンチュワのケーキレポです。
バタークリームはほのかなコーヒー味
サンタさんのつぶらな瞳と目があう
 このブッシュドノエルが初登場したのは3年前。一目惚れでした。んじゃ、なんで3年も我慢して買わなかったの?と聞かれるとその説明に長文を要するから、その話は割愛!^^; とにかく3年越しの恋慕を実らせてブッシュドノエル、げっとだぜ!
横っちょ
切り口はアプリコットジャム?でコート
土台部分はクッキー生地。美味しい上に厚みがあって食べ応えがあるのが嬉しい。マカロンは子供に譲ったので無念の食べ損ね。期待してなかったサンタの砂糖菓子は意外と美味しかった。砂糖というより飴細工な感じで、柔らかな舌触りがある。さらし飴のような千歳飴のような…硬さも含めて 羽一衣 が一番近いかな。キノコのメレンゲ菓子も、いの一番に口にした子供が「あ!これ美味しい」と声をあげるくらいハイクオリティ。さすがはガルガンチュワ。どこにも手抜きがない。
主張が強くなりがちなバタークリームは絶妙な薄さのコーティングにして控えめな味。ほのかな珈琲味が、昭和のケーキを思い出させる。色味をつけるために、あの頃は珈琲がよく使われてたものでござんす。そして一番感心したのはスポンジ生地の食感。柔らかさの中に適度な弾力があって、これに近い食べ物がすぐに脳裏に浮かんだ。それは私の大好きなユーハイムのバウムクーヘン!もう圧倒的じゃないか!巨人め、生地にマジパンを入れこんだな?えときにも書いたけどロール部分を見せる切り口には酸味の効いたアプリコットジャムが塗られている。味に変化がついて良いのだろうけど、私には酸味が強かった。ここにアプリコットを使うのであれば、次回はクリームもスポンジもチョコ系にしてザッハトルテ風のバージョンがあると楽しいかも。
また来年も食べられるかな?

写真じゃ伝えられない美しきチョコ
さて、おまけは今回とは別口に買ったガルガンチュワの限定品、竹鶴21年モルトを使用した「ボンボン ショコラ ピュア」の写真で今年一年のお別れを。チョコレートの美味しさが際立つ、ウィスキーが苦手な人でもお酒の雰囲気を楽しめるチョコでした。なによりも、そのいでたちの美しいこと。今から来年のバレンタインデーが楽しみです。
と、鬼に笑われながら今年も一年、ありがとうございました。来年も良い年でありますように。

2014年12月19日金曜日

コスパの話2

まだまだつつくよ、コスパの話。CP(コストパフォーマンス)は悪いよりは良いに越したことはないけれど、対価に見合うものを出してもらえるのが一番嬉しい。そこに付随した何か(心遣いとかちょっといい話)があると、それがトクした気分として心を満たす。お得感とは本来そういうものでありたいと勝手ながら思うのであります。
安くて美味しいもんをお出ししますぜ!というお店と、値段は張る分それに見合う美味しいものをご用意しますというお店は対極にあるように見えて目指しているものは同じだ。共通するのは「人に喜ばれる仕事をしたい」という気持ち。この気持ちがあるお店、商品こそが本当の「対価以上のお得なお買い物」ではないでしょうか。
これらの対極にあるのが「自分が儲かる仕事をしたい」という気持ち。その行き過ぎた形態が、客にわからぬように対価に見合わないものをしれっと出すような事態を引き起こす。

さて安くて美味しい店が良いお店というのは誰にもわかりやすく重宝され易いが、こと値の張る店になると評価は大きく分かれがち。値段が高いから良いに違いないという盲信派や、高けりゃ良いってもんじゃねーよという懐疑派と、嗜好の問題も絡まって人によって言うことはバラバラ。そもそもどうしてこんなにも価格帯に差が開くものなのか。安ければ本当にお得なのか?高ければ本当にウマいのか?ということで前回写真のえときでちらりと予告した価格帯の違う天麩羅屋食べ比べ録の始まりはじまり〜。

何故、天麩羅?たまたまデス。ハレの日飯をとる機会がありまして、その時になんとなしに普段は縁遠い天麩羅屋をチョイス。ハレの日プライスということで最安のランチコースが6,000円〜という老舗のお店に初突撃(天丼なら4,000円内)。
そのイベントの数日後に街へ出て昼食をとる機会があり、これは食べ比べのチャンスとばかりに天麩羅をチョイス。こちらも老舗だが先だってのお店ほど敷居は高くない。昼のコースが2,000円〜で夜のコースでも2,500円〜という落ち着いた価格帯。ちなみに天丼は1,400円〜。ハレの日でもないのに、まずまずの贅沢ランチ。

価格帯の違いがお店にいかほどの差異を出すものか、あるいは差異など幻か。そしてまた素人の自分が違いを感じ得るものなのかどうか。試してガッテンだっ!
仮にお高い天麩羅を一、落ち着き価格の天麩羅を八といたしましょう。仮にね!(^^;)
一も八も調理カウンターとテーブル席、奥には座敷が用意された純然たる天麩羅屋。
その日居合わせた客層は、一がビジネスを含む外国人接待が多く見受けられ八はお金持ち風味の品の良い高齢者、しかも何故かお一人様が多く見受けられた。ちなみに両方とも平日ランチタイム。んで、気になる内容は…。
素材の違い
一は値段相応に良い食材がふんだんに用意されている。八は素材によって品質にややバラツキあり。目玉となる食材に張り込んで他は添えモノで…という感じがなきにしもあらず。全品全力投球という一に比べたら、という話なので念のため。普通に八に入店して食べる分には、決して気にかかるほど遜色あるモノが出ているわけではありません。相手が悪かったな〜、八。
そんな八に朗報だ。高い食材が全てにおいて美味しいか?と言われるとそんなことはなくて、八の方が美味しい食材もありました。エビは食材の違いが歴然として一の勝利。揚がった姿も美しく、とても美味しかったです。しかしかき揚げの小エビは八の方に軍配。また一のキスやワカサギを食べた時に思ったのですが、柔らかくて身が美しく、高級なのは間違いないのですが高級品にありがちな淡い味わいに物足りなさを感じてしまう。この淡さこそが食材のキモなのだとしても、庶民の私としては食べ慣れた味に近づくためにもうちょっと臭みがあってもよろしくてよ…とこれは個人的な好みの問題。
技量の違い
技量は一定ラインを越えれば全て「おいしい」のひとくくりで、どちらも美味しく揚がってました。美味しければそれで十分なので技量の良し悪しは正直わかりません。ただ一つ付け加えるならば、薄衣に揚げる一の天麩羅は美しかった。技量の問題か素材の違いかはわからねど、一は油も良かったです。
文字通り舌を巻いたのは一の〆に出てきた天茶漬け。これがとても美味しかったのです。八で二十年前に天茶を頂いた時は「美味しいけど好みじゃないな〜」と思って以来口にすることのなかった天茶ですが、今回の天茶はハッとするほど美味しかった。年取って好みが変わったといわれればそれまでですが、何よりもその調和の取れ方にほれぼれした。かき揚げ、お茶(出汁ではなかった)、海苔、わさび。どれか一品でも主張が強かったら台無しになっていた、という程の見事に連携の取れた優れた一碗で美味しいよコレ!「これを食べにまた来たい」と思わせる品目がある店は強いと思います。
まとめ
若い頃に聞いた話だ。どこやらの高級天麩羅の店は揚げ油は3人前ほど揚げたら奥へ下げて次々と新しい油を出して使うという。当時「そんなムダなことはしてくれなくていいやぃ」と思ったもの。けれど人生経験を積んだ今は新(さら)な油を纏った揚げ物の屹然とした味の違いがわかるから、その行き過ぎとも思えたサービスの持つ価値もわかるようになった。普段の食事だったら「あたしゃ二番煎じ三番煎じでよござんすよ」と思えても、例えば誰か大切な人に本当に美味しいものを食べさせてあげたいと思った時に、こうしたサービスをする店があるのは心強い。「見えない所にあるサービス」とは他所の人のブログで読んだ話だが、デザートチーズを供するある店ではベストな状態のチーズを出すために表に出る以上の沢山のチーズを奥にストックしている。メニューに出してないチーズでも「あれが食べたい」と言えばさっと奥から出せる。その表側に見えていない奥側での万全の体制作りこそが「おもてなし」ということだ。
見えない場所でのおもてなしを維持するためにコストは高くなる。高級店の価格帯の差異は本来そうした所にある。自分が直接的に受けたサービスにだけ着目して「CP悪いじゃんよ」と思うか、細部にわたる維持あればこそ「総合的に良いサービスを受けられる」と納得できるかどうかは利用者次第。かように高い価格設定には理由がある。というか、理由もないのにバカ高い設定をするような店は早晩消える。高い店に入るなら潰れずに続いてる店を選びましょう。
さて一方、安い店は見劣りするか?と問われれば比較すれば値段相応の差はどうしても出る。しかし味が劣るか?と問われればそれは別問題。マズイものを出すので無い限り、自分が美味しいと思えるものを食べられるなら必要以上に高価で過剰なサービスがある必要はない。私はハレの日ご飯で出かけるなら一を選ぶと思う。普段の何でもない外食に天麩羅を食べる習慣がないから八に出かける機会はないと思うけれど、ちょっと懐にゆとりがあって「あ〜天麩羅が食べたいな」とふらりと入って美味しい天麩羅を食べるぶんには八はとても良い店だと思います。お惣菜モノとは違う、揚げたての本当に美味しい天麩羅が食べられる幸せ。高齢のお一人様がたくさん居た理由もなんとなくわかる。一人暮らしのお年寄りが一人分の天麩羅なんてそう簡単に作る気にはなれませんものね。
人に喜ばれる仕事のなんと尊きことか。

2014年12月13日土曜日

コスパのはなし

コストパフォーマンスって何だろな、という話。消費行動全般に言えることですが、食い道楽の私ゆえ、飲食話に特化した内容になることをご了承ください。では行ってみよう!

支払う金額よりも価値が高ければコストパフォーマンス(CP)は高い。逆に支払い金額の割りに得たものがショボいとなるとCPは悪い。では支払い金額相応のモノが得られた場合は?これこそが等価交換?!で、本来あるべき姿と私は思うのであります。
CP(お得感)を上げることに躍起になり、その方策として価格を低く設定、そのムリを通すために安価な食材に走る。それは一つの経営方法ではありますが、そうした店に私は行きたいと思わない。昨今、外食業界を騒がせた食品偽装問題は安価食材どころか詐称食材を利用したために起きましたが、これはCPの良さにこだわる風潮につけこまれて「偽りのお得感」を売り込まれたといえる。
等価以上のものを求めて、結局は等価に及ばない食事をとるはめになるなんて、こりゃ皮肉もはなはだしい。ちなみにこの皮肉という言葉、達磨大師の「皮肉骨髄」という言葉から派生したもの。骨髄が物事の本質の理解を表すのに対し、皮肉は表面や上っ面だけを見てるとの批判の言葉として使われたのが元の意味。上っ面な食材名やブランド名だけに対価を支払い、骨髄であるところの料理そのものを味わえない(消化できない)のであるならば、外食なんてやめっちまえこのスットコドッコイ、てなもんでやんす。

さて損得づくでモノを考えるなら、まず高額料金を支払って相応の美味しいものが食べられるのは至極まっとうなこと。食材の良し悪しはもとより、私の場合「自分に用意できない食事」なら対価を払う価値が十分にあると思っているので満足しちゃう。
裏をかえせば「自分にできる範囲の食事」が出た時は支払いの際に対価をシビアに値踏みしてしまう。「安価な食材に走る店に行きたいと思わない」と書いたのはそういうこと。そんなのいつも私がやってることなんだもん ^^ / 
試みにランチ価格1,700円と5,600円の
天麩羅屋を食べ比べしてみた。
詳細レポは気が向いたらまた今度^^
てなわけで(?)今回のお題は外食のCP(損得計算)について私の独断と偏見で切り込んでみることにしました。飽くまでも俺式。

自分でできる範囲のことを外注する、すなわち時間と手間を買い取るつもりで摂る食事のラインは金額にしたら一人千円前後。これは損得にこだわる以前の価格帯。

一人3、4千円からは「自分では手がかかる食事感^^;」が上がりだし、食餌(しょくじ)としての外食よりもお楽しみ要素を含んだ食事の意味合いが強くなる。5、6千円くらいになると安定的に満足なものが食べられると思う(このラインになると変な皿を出す店の割合が低くなる、ということ)。これがさらに上の一万円前後になると食材もぐんとグレードアップする。ただしこの価格帯における食材の違いは実に微妙なラインで素人には判別がつきにくい。食品偽装につけ入る隙をあたえていたのがこの辺りの価格帯ではないかと思われる。変な言い方だが払った分の元がとれたか気がかりになる食事の範囲がココ。(←本当に独断だな)

一万円後半から二万円になると素人にもそれとわかるほどの「良い食材&自分じゃ絶対作れない皿」が出て来るライン。料理人の腕前とあいまって、味わい、満腹度、雰囲気等の気持ちの問題も含めた満足ゆく食事ができないとオイ、コラ!と言われやすいのがこの食事ラインではないでしょうか。良いのが当たり前で、遜色があると思われたらたちまちCPが悪いとの評価をされる受難のクラス。不平を言う側にもある意味必死感がただよう価格帯と言えましょう^^;。

三万円から上のクラスになると私にはもうお手上げ。何がなんだか正直、素人なもんでわかりません。ウマイマズイという以前に、このラインは純粋に食事を楽しめる=面白がれる人のものだと思います。食材のクラスがさらに上になると同時に料理人に対して「君、やりたいようにやりたまへよ、はっはっはっ」と言えるお大臣クラスの食事でしょう。つまりはパトロンクラスの食事。新しい挑戦をする料理人に投資をして料理の歴史に新たな一ページを作る縁の下の力持ちになる気概あるお方が来るお店。元が取れるか取れないかに拘泥している間はおいそれと入れるお店ではありませぬ。

などと独断と偏見に満ちた解釈でつらつらと書き出しましたが、自分の中で消化できる範囲のものが適正価格消化は即ち昇華。口コミサイトが高評価を出そうが低評価を出そうがそんなの関係なしに、自分が納得できる店を自分の足と目と舌で探すしかないと思うのです。それが私の食道だってばよ!
そんなわけでまた美味しい店を探して西へ東へ奔走する一年を過ごしたいものです。耳寄り情報ぼしゅうちゅう。

2014年11月30日日曜日

こどもたちをせめないで

あなたはもう忘れたかしら〜♪いずれ書くといった「赤ちゃん連れのフルコースディナー」の話です。どんな風に言えばこの違和感を巧く説明できるだろうかと考えてみた。とても長い長いペンギンの話になったので御用とお急ぎでない方はお付き合いください。

メインダイニングルーム(正餐室)、フルコースディナー(社交飯^^;)、これらの要素に対する認識が違うからでしょうか私がそうした席で赤ちゃん連れに遭遇した時の感慨は「場違いだ!」という憤慨や顰蹙ではなく、ただひたすらに「ぎょっとする」の一語につきる。その感覚を理解してもらうとするなら、こういうのはどうだろう?
茶室に赤ちゃん連れで入りたがる日本人はいない
お茶席がどういう場所か考えたら赤ちゃん連れは無謀。顰蹙を通り越して驚嘆絶句するしかない。ぎょっとする心理はそこにある。ただし茶室の畳に赤ちゃん転がして外国人夫婦がお抹茶頂いてたとしたら「何も知らないから、しょうがないか」という視線で見るかも。これに倣(なら)って、メインダイニングルームがどういう所か知らないとおぼしき人に対しては「しょうがないか」という目で見るしか方策がない
と、ここまで書いてイヤな予感。検索したら「赤ちゃん連れで茶会」をウリにしてる茶道教室なんてあるのね。お遊びは別として、通常のお茶席に赤ちゃんはムリだと思うんだけど…正直もう何を言うのも自信がなくなってきちゃったよ(/ _ ;) 

昔なら映画館に赤ちゃん連れで入ろうとする発想自体が衝撃的で意味不明だったけど、今はママパパにも遊ぶ自由を認めてやれや!という時代。赤ちゃん連れの映画鑑賞デーなんかも用意されてるから、子連れで親が遊んでる風景に衝撃はなくなっていくのでしょう。パパママが遊ぶのは止めないよ。でもね大人のアソビに赤ちゃん巻き込むのは何か違うとオバちゃんは思うのね。親子で一緒に遊ぶのと、子連れで親が遊んでるのは似ているようで実は全然違う性質のものだ

良識ある人は大人の場所に子供を連れて来ない。周囲に迷惑をかける不安もあろうが、それ以前に自分の子供にとって少しも良くない(楽しくない)からだ。成長段階に合わせて子供にムリをさせない時間と場所を選んで出かけ、大人だけが楽しみたい時には子供はベビーシッターに預けて出かけるのが良識派のやり方。要は大人のお楽しみに子供を付き添わせたりなんかしない。(ベビーシッターが無い地域はどうする?とか言うのは無しよ。人はどうにも都合がつかない時には普通ならお楽しみを諦めるものですからね、子供云々はその際関係ない)

さて子供界^^; と大人世界の線引きがしっかりしている欧米では「同席を許された子供」が正餐(大人のお付き合い)に参加することがありますが、これが許されるのはマナーを身につけた子供オンリー。大人と同じ格好で作法をこなす小さな紳士淑女が緊張の面持ちで食事をとる様はなんとも微笑ましいのですが、事情を飲み込めない人間がその光景を見て「うちの子と同じくらいの子を見たことあるから、うちの子も入れてちょーだい」となった時に悲劇が起きる。ゲームや試合においてもルールを知らない人or 守らない人が混ざったことで進行に支障が出たり、それで興ざめになった経験は誰しも覚えがあるでしょう。

子供に優しい人連合(?!)のために、ここで明確にしておきたいのは以下の点。
  • 場にふさわしい振る舞いがきちんと出来るなら子供でも問題ない
  • きちんとした振る舞いができない者は大人でも遠慮するべき
んで、自分の子が行ける場所か否かを正しく判断できない親、これ即ち、きちんとした振る舞いができない遠慮すべき部類の大人ということ。子供がハブられているのではなく、判断力の怪しい大人が Oh ノー!と言われてるのです。「いかんともし難い事情を抱えた子連れかどうか」は親の様子を見ればだいたいのところはわかる。周囲から拒否反応が起きるのであれば、それはおおむね付き添いの大人に原因があるケース。ルールを守れない大人ほど、扱いのムズカシイものはないからね。

とはいえ、ここは日本ですしね。あまりこまけーことは言いっこナシだ。上述の考えは現代日本の共通認識とは必ずしも言えないのが現状。深夜帯のコンビニだろうがお酒飲む場所だろうが、チビッコが何時でも何処にでも出現する日常に時代も様変わりしてる。だから大人の雰囲気むんむんの場所や、子供には無意味に長いフルコースディナーに赤ちゃん連れが出没しても、それに目くじら立てるのは時代遅れと承知もしてる。古い人間だから、どうしてもぎょっとはするけどね。

私が以前見かけた赤ちゃん一家はスタッフのサポートやテーブル周辺のお客の厚意を受けて運良くトラブルに見舞われずにすんだ。フルコースディナーの最中にぐずったのも2回だけで、始終かまびすしい中年女性のお喋りほどの迷惑もかけてない。真相はわからねど、両親が事前問い合わせをした結果こうした形(席の配置を含めた万全のスタッフサポート)になったのかもしれない。この食事の成功を心から「良かった」と祝福する気持ちが私にだってある。だが乞い願わくば、ママ友の口コミを通じて他の赤ちゃん連れが一斉にメインダイニング目指して押し寄せることがありませぬように。居合わせた爺婆が「今度はうちの孫ちゃんも連れて来よう」というのも勘弁。
それの何がダメなのかって、問答無用の子供相手に偶然の大成功がいつも起きるとは限らないから。食いしん坊の私にとって食事の場が悲しく苦(ニガ)い思い出の場所になるのだけは避けてほしい。それは居合わせた人々、お店のスタッフ、そして子連れ家族を含めた誰にとってもね

日比谷帝国ホテルのメインダイニングルーム「レセゾン」は今春ついに「10歳未満のお子様はご利用いただけません」という一文をHPに入れるようになりました。今まで子供の入店拒否をしてこなかったこの店に、一体何があったのでしょうか(これまでは4歳以下のお子様は個室の利用をお願いします、だった)。過分な年齢制限が加わった背景に悲しいトラブルがなかったことを祈るしかない。
行き過ぎた措置は行き過ぎた行為の代償という。中庸を外さずにいるというのは難しく、そして誰にとっても大切なことですね。しみじみ

2014年11月20日木曜日

シミは生き延びることができるか

久しぶりに シミ取り物語 。「アットノン」は顔のシミに効くのか?の経過報告です。単刀直入に言えば「病いは気から」「心配は身の毒」「気にしなければどうということはない」ということがわかりました。しかしこれでは刀が短すぎていけませんね。とても核心を突けていると思えない。では順を追って話しましょう。

最初に書いておきますが傷跡消し薬のアットノンは「顔に使わない」という注意書きがあります。これは顔の皮膚が他の部位より薄くできているため、小林さん(なぞ)としては「顔用に作った薬じゃないから使わないでね」という注意喚起。ツラの皮が厚い自分には問題なかろう、という自己責任の元に様子を見ながら使用してみました。
風呂上がりの清潔な肌に少量とってぬりぬり。これをタマにサボりながら3〜4週間くらい続けたでしょうか。塗り薬は長期に渡って使用するなというネットのお告げを守ってこれくらいで勘弁してやる。
〜結果〜
塗布の際に毎日のように自分の顔のシミを見てきたわけだけど、はて、これといった変化があるように思えない。塗り始めの頃は、普段そんなに観察しない自分の顔をしげしげと眺めるものだから逆にシミが濃くなっていく感覚さえあった。(※ココ、後で重要な伏線になります)
「猫の引っ掻き傷の時みたいな劇的な変化はないよな〜」という結論に達して、それ以降は思い出した時だけ気休めに塗ってみる、みたいな形で実験は自然消滅的に終了。
が、つい先日のこと。趣味の女装遊びに興じて入念に化粧した時に気がついた。やっぱりシミは薄くなってる!それというのも…

まず、スッピンの時は全体的に肌のキメが粗いのでシミはさほど目立たない、というか気にならないのですが、化粧で肌のキメを整えると周辺がキレイになった分、シミの部分がどうしても悪目立ちする気がして、コレが近年私の心を少しブルーにさせていた。ところが先日、化粧を終えて顔を見直した時にあのシミがなくなってるじゃあ〜りませんか。「?!」と思って鏡に顔を寄せて凝視すると、ああ、あった。シミはなくなったわけじゃないのね。だけど探さないと分からないくらい目立たなくなっていた。
「それなりに効果はあったんだな〜」と感心しつつ、しかし今日のこの日まで何故そのことに気がつかなかったのか考察してみた。

猫の引っ掻き傷がアットノンで消えた話を友人にした時のこと。「え〜、アットノンは全然効かないよ」と言われたことがある。体質的な個人差があるのかな、と考えながらその友人と話していて気がついたのは彼女の主張が「傷跡は完全には消えなかった=効かない」であり、私は「傷跡が目立たなくなった=効いたよヒャッハー」だったということ。
冒頭の「気にしなければどうということはない」とはそういうこと。ワル目立ちしていた傷やシミが薄まればそれだけでハッピーになれる人と、完全に消滅しない限り気になり続ける人とで意見がこうも分かれてしまうとは。
顔のシミには効かない、と最初私が感じたのも「消えてなくなれ」という気持ちが強かったから。実際には化粧で隠れる程度には薄くなりつつあったのに、逆に濃くなったように感じていたのは消えないシミに気持ちが集中していったからなんだと思う。すなわち「病いは気から」「心配は身の毒」。
ベルツ水
シミを気にして暗い表情をしていると余計にシミに目が行っちゃう。でもね、自分の顔のシミなんて鏡見ないと見えないのよ。自分に見えないシミならば無いのも同然ららら〜と、活き活きした表情でいれば人の目はシミよりも表情の方に引きつけられるもの。欠点は隠してカバーするより、他の魅力でリカバーするべし。シミもまた、かくのごとし。

ミもフタもない精神論で終わってしまうとガッカリする人も多いと思うので、今回もオマケ情報をつけておきます。シミ消しピーリングに使用するクエン酸水と同様の効果(色素沈着を抑える)が期待されるグリセリンカリ液です。こちらもクエン酸水同様、肌に合う、合わないがあると思うので用心して試しながら使用してみてください。こちらはパックにはせず拭き取り水として使用します。肌に合わないとピリピリするそうなので、異常を感じたら洗い流すなり薄めて使うなりを推奨。
箱に書いてある通り主婦の手荒れにも効くそうです(もちろん体質に依る)。ドラッグストアなんかの棚にエタノールとかと一緒に並んでる。100mlで300えんくらい。これをコットンに含ませて色素沈着が気になる部分をササッと拭き取り。肌の黒ずみを消せる(目立たなくする)らしい。
アットノンの顔シミ実験と平行して脇下でやってみましたよ、奥さん。折角なので左脇はアットノン、右脇はグリセリンカリ液という風に使ってみました。劇的な変化ではないですが、グリセリンカリ液を使った右が左に比べて色素沈着がマシになってる、ような気がしてる。結局、すべては気持ちの問題。さすがに脇下の写真をup するほどの勇気もないし、それをしないくらいの良識は持ち合わせているので皆さんに確認をとってもらうことができないのが残念であります^^;。飽くまでもご参考まで。

2014年11月13日木曜日

上高地 回想編みやげ

上高地のお土産、買って良かったもの特集〜。
てぬぐい
コレは私が何処へ行っても買う定番の記念品。普段から手ぬぐいを使う生活をしているので何枚あっても困らない。首に巻いてかさ張らず、乾きが早く、マスクにも帽子にも鍋つかみにもなる優れもの。職場で貰ったお菓子をくるくるっと包んで巾着にできるのも嬉しい。固いものを入れて振り回せば武器にもなる。
それはともかく。帰宅してから気づいたが、この手ぬぐいは焼岳に激しく噴煙が上がっている絵柄で「1933年の開業時にデザインされた商品の復刻版」なんですと。1915年の焼岳噴火で出来た大正池も、当時は今よりずっとずっと大きな湖面を誇っていたという話も聞く。今となっては中途半端な立地に思える帝国ホテルも、昔は実はもっと湖畔のホテルっぽかったのかもね、なんて思いを馳せてみる。


ルームキーを模した黒檀キーホルダー
高くて(1,600円くらい?)ちょいと躊躇したけど思い切って購入。旅のよすがに浸れるこうしたお土産もよござんすね。これに宿泊した部屋番号を彫ったりしたらすごく良い記念になりそう。そんでソレを蒐集したりするのも楽しそう^^ 。そんなお金持ちになりたいものだわ〜。




クマよけの鈴
かわいいもの好きの旦那が惚れて買った。人の多い所にきたらネジを緩めて消音できるスグレもの。やや高音域なので音色は私好みじゃない。この音なら多分クマも嫌がる。

他にもガレットやチョコを配りもの土産に購入しましたが、食べ物系は写真撮る前に全部食べちゃいましたとさ^^ 。日比谷のガルガンチュワで買えるようなお菓子は買わなかったけど、旅先で日持ちするお菓子を自分用に買うのは好きです。今回、チョコレートを買って休日のお茶の供にしましたが、口に含むたびに上高地のことを思い出して一ヶ月くらいしみじみと楽しめました。

おもいで
ホテル内で初日にちょっとした行き違いがありました。支配人さんにお詫びをされて初めて気づいたくらいの些細な事だったのですが、むしろ細かいチェックをしているものだな〜とそちらに驚いたくらい。もっと驚いたのはそれ以降、支配人が私達夫婦の姿を見かけると駆け寄って必ず一言声をかけてくれたこと。しまいには「支配人に見つかるぞ」が夫婦の合い言葉になってしまったくらい^^; 。面映いことではありましたが、ちょっとした事でもイヤな思い出にならないようにという気遣いが見えるのは泊まる側としては有り難いことでした。「謝ったらあとは忘れた」という態度をされるよりはずっと心に残る対応だな、と我が身を振り返って学ぶところ多いにあり。良いことは早速取り入れたいものです。

さて、書き忘れたことはないかな〜と脳みその海馬をさぐってみる。瑣末なことではありますが、布団が暑かったです!厚みの話ではなく、というか布団そのものはむしろ薄〜い上質の羽毛布団。これを掛けて寝ると体温でたちまち温まって寝苦しいくらいの暑さに。宿泊口コミサイトで「暑かった」という苦情を寄せていた人がいたのですが、もしかすると部屋の話ではなく布団のことだったのかもしれません。これと同じような掛け布団(掛けると猛烈に暑くなる)を以前九州で一度だけ体感したことがありますが、その時は布団を剥いで空調で室温調節して寝ました。上高地帝国ホテルは空調がないのでコレは難儀な問題ですね。寒い時期に快適に過ごせる布団なのは間違いないのですが、もし暑く感じるようなら窓を少し開けて寝るのがいいのかもしれません。
あとは…エレベーターのボタンが時々うまく作動しなかった^^ 。
おそらくはボタンの二度押しなんかをすると解除される仕様なのかな?大人数が出入りして複数の人がボタン操作したり、うっかりお尻で押しちゃったりすると停止した箱の中でいつまでも待ちぼうけをくらうのでご用心。先週配属されたばかりという初々しいベルボーイが私達を部屋に案内する時にコレをやってしまい、動かないエレベーターの中でしばらく四方山話に花を咲かせる仕儀になったのも良い思い出。
う〜ん、他には…TVで家庭用除雪機のコマーシャルを見たのはちょっと面白かったかも。所違えばCMも変わりますね。そんな商品があることすら知らずに生きてきた。
そうだ、思い出した。あれだけ食べ物の話を書いておいてバー「ホルン」の話が出ていない。もちろん行きましたよ!そうです、バーなので当然酔っぱらいます。というわけで写真はろくでもないものしか無いのれす。席数こそ少ないものの、バーの中は意外と広々。ダーツが置いてあったので希望すればプレイできるはず。やってみたかったけど酔ってたし、ちょいと気後れして結局未体験。オールドインペリアルバーのマウントフジに敬意を表して、ジンをウォッカに差し替えたマウント穂高を頂きました。ジン好きの私としてはマウントフジに軍配。女性バーテンダー(バーテンドレス?)のオススメだった志(こころざし)もベリーニっぽくて美味しかったです。
ところで話は逸れますが、バーという言葉はアメリカ発祥らしいですね。西部開拓時代の荒くれ者がたむろする宿場町。その酒場の酒樽に勝手に手を伸ばされないように客と酒樽の間に横木(バー)を置いたのが呼び名の始まりとか。そのバーでテンドする(見張る、世話する)人がバーテンダー。

さて、長きに渡った上高地帝国ホテルシリーズにお付き合いいただきましてありがとうございます。丁度、ホテルも今年度の営業を終え来年に向けてしばしの眠りについた頃。秋以降に配属された帝国ホテルの上高地組は来春のオープニングスタッフとして雪かきに来ることになっているそうです。本当に大変なお仕事と思いますが、お陰でこうして楽しい時間と思い出を享受できる幸せ。いつも誰かがどこかで頑張っているからこそ、人の世の幸いがあるのですね。ご清聴ありがとうございました。

2014年11月6日木曜日

上高地 実行編わかれのあさ

楽しい時間はいつも早く過ぎる。美しいと聞いていた星空は拝めないまま、上高地最終日の朝を迎えた。上高地の星空は是非ぜひ拝見したいから次の機会があるといいな。梓川にバイカモの花が咲く頃がいい。花がなくてもあれだけ美しかったのだから、きっと花咲く季節は素敵でしょうね。ミレイの絵画「オフィーリア」のように幻想的な様子が目に浮かぶ。
最後の朝食は7時からあずさ庵。和朝食は要予約とのことで、これはチェックイン時に入れておいた。窓の外はそぼ降る雨ながら明るい。他のお客さんが到着する前にパチリでごんす。
上品しっかり朝ご飯
しっとり落ち着いた雰囲気
ご飯はおコメとお粥の2種類から選べる。焚飯は夜の鉄板焼きで頂いたので今朝はお粥を。このお粥が大正解。添えられた出汁餡がとにかく美味しい!旦那は焼き鮭の見事さに舌鼓。旦那は出張朝食で和食を摂ることが多く、その彼が「こんな立派な鮭はなかなか出ない」と太鼓判を連打していた。
旅の終わりを感じながら静かなひと時。高校生くらいの清楚なお嬢さんを連れた夫婦や、饒舌なおじいちゃんを囲んだ一家、私達と同じ年回りの中年?夫婦もいれば若いカップルも居る。それらすべての人に穏やかな時間が流れ、これぞリゾート地の朝の風景。心と身体の休息をとった満足感がある。この場を離れ難い思いになりながらも、またしてもひょいぱくと食べ終えた私達は席を立ちホテルの売店へ。荷造り前にお買い物を済ませましょう、そうしましょ。
ホテル滞在中に何度も感じたことですが、売店やハウスキーピングの従業員の挨拶がとても元気で爽やか。これは日比谷帝国ホテルにも言えることですが、たかが(失礼)掃除のオバチャンでも姿勢と滑舌が良く、会う人すべてが上品な印象。
売店でお土産の買い残しがないかチェックしていたら、フルーツガレット(焼き菓子)のバラ売りがあるのを発見。食後のおやつにゲットだぜ。と、かように心残りのないようホテル内をうろついてからゆっくり荷造り。用意が出来次第チェックアウトですよ。

ロビー階のエレベーター前にお天気その他インフォメーションの掲示板がある。最後になった今頃見てたら耳寄り情報発見。上高地宿泊者限定のお得な「おさんぽ乗車券」なるバスチケットがあるらしい。このチケットは各ホテルロビーで入手可能で、アルピコシャトルバスの始発から朝の10時まで上高地バスターミナル〜大正池の区間が一律200円になるもの。通常は上高地バスターミナル〜大正池で片道410円、帝国ホテル〜大正池で300円みたいです。すまぬ、自分で撮った写真がボケててよく読めないや。

チェックアウト前に共用ベランダの写真も撮っておきましょうかね。ゲストルームフロア一階(実質二階)にあります。グリンデルワルトの有名なマントルピースを囲む回廊を通って外に出るとそこが広々したベランダ。う〜む、晴れた日にのんびり腰掛けたい。
回廊を渡る時、マントルピースがよく見える
オマケと言っちゃなんだが、誰も居ないのを良いことにエレベーター内もパチリ。
出立の朝は雨だったのでこんな感じ
意匠をこらしたエレベーター内
フランクロイドライト風味で素敵
名残は惜しいが時間が迫る。荷造りを終えたのが10時過ぎ。ロビーが混む前に早々とチェックアウトを終えてグリンデルワルトでお茶を飲んでから帰ります。この刻限、外は土砂降りだったのでタクシーを呼んでもらって沢渡へ。迎車料金は取られなかったはずなので定額料金の4千円ぽっきり。この辺、うろ覚え。11時になるとチェックアウトで混み合うので少し早めに動くの推奨。慌ただしくなったロビーではろくな御礼も言えずにホテルを後にしましたが、楽しかったです、ありがとう。お世話になりました。
次回は回想編としてお土産情報をup する予定でっす。お楽しみに〜

2014年10月30日木曜日

上高地 実行編だいにんぐ

おかみさーん、時間ですよ〜。さて上高地帝国ホテル、メインダイニングでのディナーのお話。こちらは2種のコース料理が用意されているのでチェックイン時にチョイスします。開始時刻も17:30と19:45の二部式で時間指定がされており、そうした点でも古式ゆかしいターブルドート形式(豪華客船のメインダイニングは今もこの様式ですね)。ちなみにアラカルトを主体にした形式のダイニングは元来「グリルルーム」と呼ばれる。メインダイニング(主食堂)とダイニング(食堂)の違いはそこにあり、常にメインダイニングは格上の場所とされてきた。昔はね。今はアラカルトにも力を注ぐメインダイニングが普通に増えたので、食事形態云々よりもホテル内の「最上級食堂」くらいの意味で「メインダイニング」という言葉は使われる(←こうした意味合いも今は廃れてるのかもしれない)。

さあ、昔話はここまでだ。目の前の食事の話をしようじゃないか。と、その前に他のお客さんが居ない間にそそくさと写真をパチリ。厨房入り口を中央壁際に据えて、左右振り分けにテーブルが並ぶメインダイニングルーム。う〜む、うろ覚えながら全部で20卓前後…というところでしょうか。テーブルは広々としているので窮屈感はない。私が通された左房には3×3で9卓が整然と並んでる。
一番奥の席から窓側席をパチリ
昭和8年の創業当時は三階建の部屋数46とのことなので、食堂の大きさが変わっていないのだとしたら納得の広さ(現在はアティック含めて四階建の74部屋)。メインダイニングでの食事が社交の一部であった時代はむしろ相席は普通に行われたかもしれませんが、現代では原則グループ毎に着席。ツアー客で込み合う場合のみ同一ツアー内での相席が発生する模様。

料理は着席の済んだテーブル毎に順次運ばれてくる。私達夫婦は普段からヒョイヒョイ食べてしまう傾向があるので周囲に合わせて「ゆっくり食べようね!」と固く誓った。誓いも空しく結局ひょいぱく食べになりましたが ^^; 。
写真ボケちゃった





紅鱒のアントレから始まってエンドウ豆のポタージュ(ヴルテ)、ポワソンはオマール海老、ヴィアンドにビーフ、ソースフランベのイベントを挟んでデセールがフランボワーズとショコラのムース。どれも本当に美味しかった。フランベは厨房口前で行われるが、左房と右房の両方の人が楽しめるように2基用意されている。
イマドキ古めかしいショータイムと笑う向きもあるようですが、同じ料理、同じ時間、同じ空間をゲストみんなで共有するための演出と考えるなら、これぞターブルドート(Table d'hôte )=ホストのもてなす食卓という本来の趣旨を守っている。「王道のメインダイニングルーム」が保持されていると言えましょう。(その後の時代の変換もあってターブルドート=定食とかコース料理と今は訳されてしまいますけどね。ぷぅぷぅ)

お酒もしっかり頂いて、ひょいぱく食べながらも時間をかけたディナーだったので離席する頃には満腹中枢は激しく活性。前日は鉄板焼きの後にバーに行く余裕があったのに、今日はもうギブアップ。ディナーの後に「もう動けない〜」となった時に部屋に戻ってすぐにゴロリと横になれるシチュエーションってなんて有り難いんでしょう。幸せな余韻にひたりながら爆睡の夜。これではムードも何もあったものではござんせん。お酒はほどほどに、ですね。ぐぅ
お客様の装いは以前書いたとおり、おおむねスマートカジュアル。初日にチラ見した時は客層が年配寄りだったせいか男女ともにジャケット着用率が高くヨソイキ感のあるご夫婦が多かったように思いますが、二日目は良い意味でフレンチに気負いがない雰囲気の客層。もしかするとみなさん、周りの様子を見ながら着るものを調整して出てきてるのかもしれない。無難にするなら女性はワンピース。男性はネクタイは要らないけどブレザーやジャケットを羽織っていればサマになる感じ。そもそもお店の人が蝶ネクタイなんだから、そこに並んだ時に激しい落差がない格好なら大丈夫。かな?

2014年10月24日金曜日

上高地 実行編みょうじん

さて二日目の夜はメインダイニングでのディナーを予定していた。食イベントに重きを置く我が家は用意周到に「その時」にそなえた。まずは腹ごしらえ前の腹ごなし?に明神池に出発だ^^ 。そうです、我々の目的は上高地ではなくて上高地帝国ホテルの食事。上高地の散策は手段にしかすぎない、なんというバチ当たり人生

前述の通り、二日目朝は大正池を散策してその後は11時くらいまで読書室。アルペンローゼの開店を待ってから早めの昼食をとり、それから穂高奥宮をめざすことにした。というわけで散策前にカジュアルレストラン「アルペンローゼ」に突撃。
リブアイステーキとピラフ 3,240えん
ビールに合うガッツリごはん
もはや上高地観光の名所の一つともいえる上高地帝国ホテル。ラウンジで一服したり、こちらのレストランで昼食をとったりと、宿泊はしなくても利用する日帰り観光客は多い。ネット上でも口コミやブログ記事が満載。そんなわけでいまさら私が言うことは何もないのですが一言「おいしゅうございました」。私のチョイスはリブアイステーキ 安曇野うどと茸の和風ピラフと一緒に。今から明神池目指しますからね、そこは肉ですよ肉!添えられたサラダのドレッシングが昨晩の鉄板焼きのサラダ同様とても上品な味。酸味が苦手な私には嬉しかった。店内は思っていたよりも、こじんまりとした感じ。開店直後でお客が半数くらいだったから山小屋風で素朴なかわいらしさがあったけど、混み合うとやや窮屈に感じるかも。そこも含めて山小屋風。
口コミに踊る「うまい不味い」という話は好みの問題だから意見が分かれるのは当然のこととして、ここに共通する話題は「値段の高さ」。でもこうしてメニューをよく見れば日比谷帝国ホテルの昼食とほとんど同じ値段ですね…。缶ジュースだって下界のものが山に登れば高騰するのが世の常。それを考えると下界の日比谷と同レベルに料金設定をしている上高地帝国ホテルって、むしろ良心的なのか?上高地観光のついでに帝国ホテルを体験できます、という企画の一つと考えればこういうのもアリかなと思う。値段まで追体験しとうないわい、と言う人がいてもそれを否定はできませんが ね ^^;
明神館でソフトクリーム
ヨーグルトブルーベリー味

さて腹ごしらえ完了。いざ明神、穂高奥宮へ。
河童橋〜明神池の往復は右岸と左岸の好きな方を各自が選んで歩くのがセオリーですが、私は起伏に富んでちょっとシンドイ右岸(岳沢湿原側)を元気ハツラツな往路で制覇し、帰路はなだらかな降り道の左岸(小梨平側)をとるルートを推奨。往きの右岸ですれ違った明神帰りの山ガール達は息も絶え絶えで、皆うんざり顔なのが印象に残った。疲れた体で登り降りは本当にシンドそうだったので「帰路が右岸」は鬼門。
河童橋のビジターセンターをのんびり覗いてから帝国ホテルに戻ると時刻は午後4時頃といった感じ。お昼ご飯から見積もれば観光の所要時間は5時間ほど。ムリのない計画でお出かけください。
岳沢登山口へ向かう山装備のグループ
気をつけていってらっしゃい
 ホテルに帰還したらラウンジ「グリンデルワルト」へ直行して一杯ひっかける。ホテルチェックイン時に飲み物券を頂いたのですが、ソフトドリンクの他にビールも選べるのが嬉しいね。心地よい疲労感に冷たいビールがなんとも美味しい〜。
一心地ついてホテルの中を見渡せば…前日の宿泊客は年齢層がかなり高めだったのに対して、本日の客層は一気に若年層に寄り切って子供(大学生っぽいのも含む)を連れた家族連れがチラホラ。気がつけば私達夫婦の両脇はどちらも赤ちゃん連れの夫婦が布陣してるではないか。赤ちゃん連れて山岳リゾートなんて、経済的にも精神的にも余裕があるパパママで羨ましいわ〜とお世辞抜きに暖かい気持ちで眺めてた。赤ちゃんを連れて遊びに出かけるのって相当シンドイことと実感してるから。だがしかしメインダイニングに赤ちゃん連れでフルコースディナーを食べに来た夫婦を見るに至って、それはちょっと…ホテルには他のレストランも用意されてるのに敢えてフルコースチョイスって体力面でも精神面でもタフすぎやしないか?幸いにも大人しい赤ちゃんだったので周囲のお客もパパママも、誰も困る事態に陥らなかったのは店にとっても僥倖(ぎょうこう)でしたが、こうしたことは本当に巡り合わせの運頼み。

メインダイニング、ディナー、フルコース、どれも赤ちゃんと相容れない要素…じゃないのか?今は?もしかして?この辺りのビミョ〜にしてデリケートな話題は避けるべきかとも思ったのですが、袖すり合うも何かの縁なので恐る恐ると書いてみます。ただし言葉を選んでまた別のいずれの日にか ^^; 
アメリカ都市部の話ですが近年、子供向けじゃない場所に子連れで来る層が急増し各種トラブルが生じているそうで「子供のレストラン入店を禁ず」なんて取り決めを州ぐるみで始めた所もあるとか(←テキサスだな〜 ^^; )。「行き過ぎた措置は行き過ぎた行為の代償」というのが一部識者の見解ではありますが、はてさて中庸とはかくも難しき課題か…。どちらサイドでも、何事もやり過ぎはイヤね

2014年10月16日木曜日

上高地 実行編ほてる

窓辺の読書
ぐりとぐらってこんなにあるのね
上高地帝国ホテルの謎を解明するぞ第三弾、読書室ってどんなですか?の巻。あずさ庵前の廊下を左に折れた突き当たり、宿泊者専用施設の読書室があります。バックヤードに面したこの部屋の窓辺からは、左手にロビーラウンジ「グリンデルワルト」のテラスがちらりと見える。

朝の大正池散策と朝食を終え、ハウスキーピングが入るこのひと時に読書室を利用するのはナイスな思いつきだった。窓辺の席に陣取って読書を楽しんでいると、考えるのは皆同じようで次々に利用客が読書室に入って来た。最後は満員御礼状態。寄贈本で占められた蔵書は古いものが多く、書棚もレトロでちょっと懐かしい木の薫りがする。古びた母校と同じ雰囲気に包まれて気持ちは十代の頃に立ち返る。ちなみに私が選んだ本は「穂高神社とその伝統文化」。中学の頃と好みが一貫して変わり無し。安曇一族が何故、山中で海神を祀ったかに興味があったのですが、上高地つながりの風土記的なものがこの読書室にはあるに違いないと狙いすまして来たのが予想的中。これはとても興味深い内容でしたが、そのお話はまた別の機会に。

窓からの風景
椅子の上に立って撮りました^^;
さてついでと言ってはなんですが他の謎も解明しておきましょう。議題は部屋からの眺望ってどんなですか?三階アティックルームからの眺めをup する人がブログ上あまり見当たらないので、これは私の使命と思いトライしてまいりました。そもそも何故この部屋の眺望があまり取りざたされないかといえば窓が高い位置にあるからなんでしょうね。私の伸長は160cmほどですが窓辺に立つと窓枠の下辺がちょうど目の高さ。窓の外を見たければ幼稚園児が電車のシートに身を寄せて伸び上がるみたいな姿勢で覗き込まねばならない。
身を乗り出せば煙突と風速計が見える
が、この体勢はオススメしない
窓辺に立ってみるとこんな感じ
この日、霧が稜線を走って幻想的
ベッドに腰掛けて見る風景
そんなわけで写真は椅子の上にのっかってお子ちゃまみたいに撮影しました。しまいにゃ窓への映り込みを避けるために窓下の梁部分(ヒーターの上に桟が通してある)に膝をついて窓外に上半身を乗り出して撮ったけど、良い子は絶対にマネしないでください^^; かなりみっともない有様です。
部屋が梓川サイドだった今回は窓外の正面は焼岳から西穂高に連なる稜線部が見える配置。山のことは不案内ではありますが、割谷山と槍見台というのでしょうか、その辺りの風景と思われます。ベッドサイドに腰掛けて窓を見上げれば、その稜線が見える塩梅(あんばい)。窓辺に椅子を置いて立ち上がり、真左を見れば焼岳が真右を見れば穂高が見える。落ち着いた状態で景色を楽しむなら、やはり一階共有ベランダに行きましょう^^; 。共有ベランダには年代物のゴツい双眼鏡が置いてあって、それに触るだけでも価値あり。

2014年10月9日木曜日

上高地 実行編あるくたべる

9月初旬、朝7時前の大正池
朝もやがわずかに残り、水面がさざ波立つ前の刹那な刻限
二日目の朝が来た。曇天の朝だ。「大正池は朝もやの風景が美しい」と聞いていたけど天気予報の感じでは一日モヤってそう。夜に降りたもやが朝日に照らされて散開する様は想像するだに美しいけど、肝心の朝日が射さなくては霧も晴れようがない。また、朝日が昇り切った後には湖面にさざなみが立つので鏡面になった大正池に写る焼岳を拝むなら、やはり早朝の到着を目指したい。な〜んて聞いてたけどこれだって焼岳に陽が当たらねば実現はムズカシイ景観。まことこの世は一期一会の世界であることよな。
さて上高地に出かける前から↑こんだけ耳年増(^^;)になっていたので、二日目の朝は無理に早起きはしないで起き抜けの天候を見てから出立、と決めていた。前日の夜にホテルが枕元に置いてくれる「明日のお天気票」によれば日の出は5時半頃。そんなわけでその刻限に起床して窓の外を見てみる。予想どおりの曇天。だけど一階の共用ベランダに偵察に出てみると焼岳方面に所々青空が出現する。これはもしかしたらチャンスかな?と思って急遽出立。結果的にこの判断は正しかった。
湖面を乱して水鳥がゆく
この日、天気は一日中曇りで朝のうちだけ晴れ間が射すといった具合。三日目の翌朝ときたら雨がしとしとで時折ざん降りという有様。山のお天気は運次第。晴れてるのに越したことはないけど「雨なら雨の楽しみ方をしよう」と気持ちにゆとりを持つしかないですね。その点、上高地帝国ホテルには読書室があったので雨天ならそこでのんびり本を読むつもりでいた。読書室についてはまた後日。
さてさて大正池ですよ。片道30分の旅。川べりの道を梓川の水の清さに目を奪われながら歩く。写真は例によってほぼ割愛^^ 。帰路は林間コースをとる。どっちがオススメ?と問われれば実際どちらも良かったです。林間部は水が染み出ているような場所や草露が触れるような所もあるのでやはり足元はしっかり覆われた状態で出かけたい。前日には子熊の目撃情報もあったようですが、サルにもクマにも遭遇せず。モモンガ的な小動物が小路を素早く横切ったくらい。往路は人影もまばらでしたが大正池には団体さんを含めてすでに20人くらいの観光客。7時近くなると下界からバスで到着した人が増え出して復路はすれ違う人も増加。やはり上高地の朝は早い。田代湿原と田代池も堪能してからホテルに戻ったのは8時前かな。野良着からホテル着に替えたらメインダイニングで朝食を。軽い運動の後の上げ膳据え膳って優雅な気分で本当に素晴らしい。

後味がサックリして美味しかった
丁寧に仕上げた新鮮果物

前日のディナーを鉄板焼きにするため、初日のホテルは素泊まりプランを採用。というわけで朝食は何を摂っても自由だ〜。喜び勇んでパンケーキをチョイス。アラカルトにはハム、ベーコン、ウィンナーの文字も踊ってる。パンケーキは私にとっては卵料理の範疇、なのでここにウィンナーを添えてもらう。旦那は私のこのオーダーに戸惑いを見せたが、これは日系アメリカ人だった祖父宅で出る朝食の定番。すなわち私にとってのアメリカンブレックファストは元来がこの形。だいたいアメリカの国際会議の朝食だってパンケーキにカリカリベーコンが付け合わせで出るじゃないか(しかもベーコンにメープルシロップが容赦なくかけられる仕様^^;)忘れたのか?旦那。私の力説に納得し、彼も同じものをオーダー。するとウィンナー自体は一皿に4本つくとのことで「2本ずつにお分けいたしましょうか?」と給仕さんが聞いてくれた。こういう所が至れり尽くせりでなんとも有り難い。
余談ですが、帰宅後に「日本のパンケーキの歴史」について書かれたコラムを偶然読んだ。そこには外国人客が多い日比谷帝国ホテルが朝食用に供したハムやベーコンを添えたパンケーキ。これを甘いおやつとしてメニューに載せたのが1953年云々という記述が。ほらね、じっちゃんの名にかけてこのスタイルは正当な洋式朝食なのだよ。えっへん。
さてパンケーキは レセゾンで食べたもの より後味がサックリした印象が強くて私好み。ホイップドバターは文句なく美味しいし、三種類あるシロップも少しずつ試した。ウィンナーはそのスパイシーさが箸休めとしてナイスコンビネーション!というか、ウィンナー美味しいわ〜。お酒が欲しくなる^^
パンケーキ&ウィンナーだけで空腹は満たされたけど、なんとなくフルーツ添えヨーグルトもオーダー。ここに散らした果物群がどれも瑞々しくて美味しい。テーブルに添えられてたジャムもヨーグルトにまぜて楽しむ。あ〜、優雅な一日の始まりを予感して希望の朝だ。この後は何をするのも、しないのも自由。2連泊ならではのこのゆとり。大奮発して2泊予約して正解でした。来週からまたがっつり働こう^^
パンケーキとヨーグルトの値段は失念。珈琲や紅茶が付く分アメリカンブレックファストが若干お得なだけで、金額にあまり違いはないのではないかな?ウィンナーは950円とかそんなだったはず。シンプル系のパンケーキ好きには絶対おすすめ。

2014年10月1日水曜日

上高地 実行編てっぱん

上高地帝国ホテルの謎を解明するぞ第二弾、あずさ庵の鉄板焼きってどんなですか?の巻。あれ?河童橋散策の話はないの?と思った方。するいどいですね。他の人がじゃんじゃんup してる写真はあえて載せないのれす。私のカメラはしょせんiPhone 。構図も露出もバッチリな他の人の写真にかなわないので、それらは全て凄腕ブロガーさん達にお任せよ^^;

その代わり、あまり見かけないショットを稚拙ながら数点ほど出してお茶を濁しますぞよ。まずは田代橋を渡ってウェストンレリーフに向かう道を右に進まずあえて直進、西穂高登山口へ行ってみよう。登山はしないけどあずまやをくぐって二三歩行進。ここからは人の気配が消えて深閑とした空間が広がる。登山口脇には大山神社があると聞いていたので、まずは社に「お山にお邪魔しますね」と最初のご挨拶。
登山道は一気に足場が悪くなる
神社というより祠ですな…
河童橋からの穂高ショットは誰もが撮りますが、私が気に入ったのは河童橋から右岸道(岳沢湿原)に向かう道をちょいと進んだ所、白樺荘入り口を回り込んだところにある休憩スポットです。混雑していないし、見晴らしも良い。
左手に休憩所が見える。右手に見える建物はビジターセンターかな?
河童橋までの往復一時間+α(土産物屋をひやかし)を終えてホテルに戻ると食事の30分前。川べりはヒンヤリするものの湿気もあって自前の天然パーマはくるんくるん(/ _ ; )。夜用に身だしなみを整えてからいざ、あずさ庵へ。

日比谷帝国ホテルでおなじみの鉄板焼き「嘉門」。あずさ庵の鉄板焼きの調理人はそこから派遣されている。嘉門なら以前、お得なランチコース企画(5、6千円クラス)を利用したことがある。美味しくて楽しくて鉄板焼きのエッセンスは堪能できたけど、若かりし日に奮発デートで体験した「神戸牛みその」のインパクトには及ばなかった。てな話をしたら旦那から「みその(一万五千円)と今回のランチは値段が全然違うってばよ!」と涙目で抗議された。そんなこんなでお試し版なんかじゃ〜ない嘉門の本気を見せてもらおうじゃないか上高地で!と相成りました。
結論から言いましょう。それは夢のようなひと時。大手ツアー2社の団体客が居合わせたその夜、メインダイニングはもちろんのことあずさ庵の和食コーナーも大盛況でした。その賑わいから引き戸で隔てられた鉄板焼き室に通されるとそこはもう別店舗の雰囲気。月並みな言葉で言うなら「VIP感まんさい!」(←はしたない^^;)広々とした空間には8人掛けの特設テーブルが2卓だけ配されて、窓の外にはバス停に伸びる坂道が見える。旅行記風に言うなら「観光客の姿がひけたエントランス周辺は静寂に包まれ、薄暮の坂の風情が旅心を心地よくくすぐった」(←かっこつけ^^)
バブル期に入れたというゴツい厚みの特注鉄板
すずき 
一番インパクトがあった
焼き野菜とお肉
サラダはドレッシングの口当たりが上品
お通し 柿なます
ご飯と赤出汁、香の物

冷やし汁粉
アクセントの霰と胡桃の味わいの調和が素晴らしい
鉄板のお世話をするは熟年の紳士。手際よい調理と上品で楽しい会話。これぞ鉄板焼きの醍醐味。食前酒には美味しい梅酒が付いた。お通しの柿なますを楽しむ間に見事な鱸(スズキ)に丁寧に火が入れられて行く。聞けば日比谷の嘉門は洋食部門が全てを仕切るが、上高地あずさ庵の鉄板焼きは仕入れを吉兆が担当するとか。そのため洋食部には手を回せない老舗の和食にだけ許された上物の魚介類が手に入るんですと。うわ〜ん、夕食の予約を入れる時に「アワビはいかがいたします?」と聞かれたのに丁重にお断りして普通の鉄板焼きコースにしちゃったよ!鮑を食べにまた来なくちゃいけないわっ。
肉厚で形のしっかりしたスズキが焼き上がり、目の前で繊細な盛りつけが始まる。にこごり使用という特性餡を掛けて「さあ、どうぞ」。このとろみ餡の美味しいこと。朝食のお粥についた餡と共に記憶に残る味となった。
お肉は私がヒレ、旦那がサーロインを希望。何も言わないのに鉄板紳士は「せっかくだから半分ずつにお分けしましょうかね」と尋ねてからそれぞれの肉を半分に取り分けてくれた。この心遣いが嬉しいわ〜。特性ガーリックチップの謎やこれまた謎に包まれた寮生活のこと、不躾な質問にも暖かい回答をしてくれたことに感謝しつつご馳走さまでした。
「焼き」が終わると丁寧に鉄板を片付けて紳士は退場。その後は心ゆくまでお肉を味わいデザートへ。あ〜、鉄板焼きって食べた後にやり遂げた感があるわ。本当に楽しい。また食べたい。あ!ウソウソ!!やり遂げていないわ。ガーリックライスを注文するのを忘れてた。これはやっぱりリベンジしなくちゃだわ。
あずさ庵の鉄板焼きは16,200円〜。仕入れの都合があるので事前に予約が好ましい。というか、先日up した ラブラスリーの件 で懲りたので絶対に食べたいものは事前に押さえておくことをおぼえた ^^

2014年9月25日木曜日

上高地 実行編しょにち

さわんどバスターミナルはオフシーズンの平日とあって閑散。山側にシャトルバス乗り場があり、そこにバスが停車中で数人のお客さんが見える。「バスでいいんじゃない?」と思わないでもないが旦那がタクシーでホテルに乗り込みたがっているのでぐっとこらえる。タクシーの手配ブースは第三駐車場の地下通路を上がってすぐ左手にあるのでそこで配車をしてもらう。
結論としてはバスは発車時間まで待たねばならず、また山道のバスはゆっくり走行になるので早く着きたい場合はタクシーがいいのかもしれない。タクシー運転手さんに上高地のことをいろいろ聞きながら釜トンネルへ。このトンネルひとつとっても上高地の歴史物語が刻まれていて、走行中にちょっと感銘を受ける。なんといってもトンネル内がすごい高低差。冬山登山の人はここを歩いて通ると言うから驚きだ。しかしながら冬場は当然積雪があるので、雪がないトンネル内はむしろ登山者にとって歩き易い極楽ルートなんでしょうかね。
ほどなく大正池。その手前に穂高を望む最良の撮影スポットがあるようですが、その日は稜線に雲がかかって景観はイマイチ。なので運転手さんは「ん〜、残念だー」と言いながらその場を通過。なるほどタクシー利用だと運が良ければ撮影ポイント停車というおまけも付くっぽい、と。

さて上高地帝国ホテルへ続く坂道を降りてタクシーは車寄せへ。林の中から赤い屋根と重厚な石垣が見えると気分が自然と高揚する。時刻はチェックインタイム開始の2時をまわった所。実にナイスなタイミング。車を降りた時にはすでにベルマンが私達の鞄を持って玄関に控えていた。この辺の忍者的な流れは日比谷と一緒。そこからあれよとカウンターでチェックイン。さわんどの閑散とした様子が嘘のようにホテル内は人で賑わっている。その喧噪から逃れてエレベーターに乗り込み、ほっと一息。客室部分はグランドフロアとは一線を画してとても静か。落ち着いた内装には少し懐かしさすら感じる。何だろう、この感じは滞在中に何度か味わった。あとから思えばこれはヨセミテのアワニーホテルに共通した部分があったからだと気がついたが、それはまた別のお話。私はスイスの山岳ホテルに泊まったことがないけれど、行った人ならきっとスイスのホテルを想起したかもしれない。古き良きヨーロッパの様式を踏襲して、カリフォルニアや長野にそのエッセンスが飛び火していることが何とも面白い
ホテルバックヤード
右手の小路をゆくと田代橋へ
左手に見える石壁がメインダイニング
こちらヨセミテのアワニーホテル
ちょっとしか見えてませんが^^;
部屋に案内されてまず最初にした事は荷物の中味をクローゼットに格納すること。備え付けパジャマが収納された小さなチェストがあったのでそこに各自の着替えを仕舞い、吊るすものは吊るす。ハンガー類はじゅうぶん量ありました。化粧ポーチの類いは洗面台へ。キャリーバッグを空にしてクローゼットの隅っこに放り込むと、ようやく「私達の部屋」のできあがり!箪笥の一番下にはランドリーバッグが入っていたのでなんとなく手をつけなかったのですが、ターンダウン後にはベッドスプレッドが収納されていたのでここは空けておいて正解っぽい。

エントランス側から
穂高面を通ってバックヤードへ
さてここで時刻は午後3時前。夕食は5時半スタートにしたので河童橋(ホテルから歩いて30分ほどの距離)くらいには行けそう。ホテル周辺の探索も兼ねて出かけてみましょう、そうしましょう。
その前に…私には解明したい謎が一つあった。ホテルエントランスを出て右手に進むと田代橋へ向かう小路があります。ここを通る人は多く、ここからホテルを撮った写真はネット上に氾濫している。つまり上高地帝国ホテルで検索すればホテル正面、バックヤードからのホテル全景、そしてホテルの焼岳側の景観はいくつも見られるのだ。ところがですよ、穂高側のホテル景観はなかなかお目にかかれない。誰もup しないということは推して知るべしな風景だけど、これがも〜気になって仕方ない。雑木林に埋もれて前人未到の地なのか?!とか妄想がつきない。過去に 日光金谷ホテル第二新館の謎に迫った 私が、再びここで謎の解明をしないと!これが今出来るのは宇宙で私だけ!

アサギマダラでしょうか
というわけで、ホテルを右に出る人の流れにさからって私達は一路左側の穂高面へと歩を進める。どきどき。あずさ庵の前を通りすぎコーナーを曲がると…ありましたよ、ちゃんと壁沿いに歩くスペースが確保されてる。こちらはあずさ庵の厨房になっているのですね。飲食店厨房の特有の香りがただよい、勝手口様の開口部もある石垣がバックヤードへと続いてる。「こうなってたんだ〜」と長年の疑問(←おおげさ)が解決した満足感でそぞろ歩いておりますとそこに蝶の群れが現れた。5、6片の見慣れない色の蝶がひらひらとあずさ庵厨房の石壁に群舞している。なんとも幻想的。カメラをむけるが動く生き物を撮る難しさよ、結局1枚だけなんとかファインダーに納めることに成功してその場を後にした。
蝶道の群れ。現世(うつしよ)と常世(とこよ)を行き交い、古来日本ではカワヒラコと呼ばれたコウモリのこどもたちよ。今は映像、画像で世界中どこの景色もバーチャルに楽しむことができるけど、こうした幽玄はやはりそこに居合わせないと決して味わえないものだなと感慨深い出来事だった。

2014年9月21日日曜日

上高地 準備編もちもの

日比谷帝国と同じラインナップ
バスジェルを含むシャンプー類
ボディタオル、ヘアブラシ、ドライヤー
ひげ剃りフォーム、裁縫キットもある
さて、旅行鞄には何を詰めたらいいでしょね。勝手知ったる帝国ホテル^^。ふかふかのバスローブ、愉快な柄のゆかたor簡素なパジャマ、歯ブラシ、ひげ剃り、綿棒、その他のバスアメニティ。何でも揃ってる安心感があるので洗面類と就寝着はホテルにお任せ。

メインダイニングでの食事を予定している人はドレスアップ用品があると安心。私はシワになりにくい簡素なワンピースとボレロを用意。普段はしない宝飾品でヨソイキ感を演出。旦那は綿パンにポロシャツながらもブレザーを着用。蓋を開けてみるとラフ気味な人からキチンとした人まで実に幅が広かったのですが、普段着クラスだとそこそこの格好をした人達にとり囲まれた時に気詰まりになると思うのでスマートカジュアルが無難かな。うっかり見落としがちな履物にも注意。散策シューズとホテル内の履物と、面倒でも2種類用意できれば完璧。外で汚れることも考えられるので&中と外でメリハリつけるのもリゾートホテルに泊まる楽しみの一つと考えましょう。旦那は中庸靴一足(レストランに入れるクラスのガシガシ歩ける街歩き靴)でなんとか済ませたけどそれで明神方面へ散策すると、ちょいと不安をおぼえる足場も点在するのでご用心。

一番頭を悩ませたのが散策着。なにせ気候が下界と上高地ではちょっと違う。そこに持って来て山歩きという点も考慮しなくてはいけない。上高地は明神池界隈までなら「山」の格好は必要ないけど、それでも靴や荷物など留意点はいくつかある。白ワンピース、サンダル履きに日傘さし、なんて高原リゾート気分で歩くと思わぬケガに繋がるから「山岳リゾート」である上高地に敬意を表した格好を心がけたい。ホテルディナーの服装に気を遣うのと同様の気配りが自然界にもあってしかるべき。
んで、とりあえず山歩き初心者向けの本を参考に上高地(至明神クラス)の装備品@9月初旬バージョンをチョイスしてみた。 こちらも参考になる のでご覧ください。

ポイントとしては肌に触れるものは速乾性のあるものを選ぶ。着脱のしやすい前開きの服でこまめに寒暖調節。虫さされや枝草での擦り傷をさけるためにも腕、首、足などの露出を避ける。靴底がしっかりしていて足を痛めない履物。両手はあけた状態にするetc.以上を考慮して
ボトム 伸縮性があり丈夫で厚みはそこそこ薄い軽量ジーンズ
ベース 長袖Tシャツの上に半袖Tシャツを重ね着
ミドル 長袖綿シャツ
アウター フード付きウィンドブレーカー(雨合羽兼用)
帽子  つば付きのもの、オプションで首に手ぬぐい装備
靴下  トレッキング用靴下
靴   底に厚みがある簡易トレッキングシューズ

暑い時はベースの半袖シャツやミドルの綿シャツを脱いで対応。寒ければ綿シャツの前をとめてアウターを着込むこともできる。シンプルな服を重ね、その着脱で寒暖調整を。もっと寒い時期に行くならミドルの綿シャツをフリース素材やセーターに差し替えてアウターを冬物にする、とこんな感じ。予報を見ると雨はなさそう&雨なら散策中止予定だったので合羽はウィンドブレーカー程度にしました。雨中行軍予定の人はそれなりの雨具と防水型のリュックをご用意ください。
小ぶりながら
財布、携帯、ハンカチ
ちり紙、のど飴、マップ
リップクリームを収納可

さて実際に歩いてみての感想は…天候は曇天だったのでシャツを前びらき状態に羽織って過ごせました。これが晴れていたなら歩くうちに暑くなってミドルウェアは脱いでたかもしれない。そんな感じなのでアウターはリュックにしまったまま活躍せず。実感としては松本市の天気予報の予報気温 −10度=上高地気温になるっぽい。山の天候自体は変化に富むので松本市(街中)の天気予報は参考程度にしかならない。荷造り前のお天気チェックは  ここなんかを参考にしました  
川べりには蚊柱というか、小さい羽虫の柱がいたる所に立つので帽子で追い払ったり手ぬぐいでガードしたりといった風に、顔面を防御にするものが何かしらあると良いかもしれません。虫柱は一過性のものだから気にしないというのも手ですが。

その他の備品
リュック 旦那と二人で一つを仲良く交代で背負う
リュックの中味は、折りたたみ傘2本、アウター2着、防水クッションでくるんだカメラ、水筒、携帯食料、ゴミ袋

適度な塩分と栄養素
これに水があれば無敵
リュックもアウターも息子が中学時代に買ったものを流用^^。今回の旅行向けに特別に買ったものといえば モンベル のウェストポーチとトレッキング用靴下くらい。この二つは実に使い勝手が良かったです。
ウェストポーチはホテルの朝食時に肩にひょいとかけて行ける設計。靴下は底に厚みがあるので歩いていて安心感があった。
携帯食料はナッツとドライフルーツのパック。ここに溶けにくい系のチョコを自分で追加。結局、散策中には食べなかったけど帰りの車の中でこれは重宝した。盲点でしたが散策中は「のど飴」が良かったです。気温の変化のせいか意外と喉を痛める。飴が直接入った小袋商品(個包装じゃないもの)はゴミが出ないので便利。

え、イマドキの山ガールファッションは揃えなかったのかって?あるもので済ます、それが俺式^^。でも上高地ですれ違う若い人はほとんどが判で押したようにスパッツに短パン、足首まであるトレッキングシューズというイマドキ装備で、ある意味凄味がありました。装備一式を揃えて出かけるのも冒険の旅の楽しみの一つなので、各自で思い思いに楽しんでください。