いらっしゃいませ

にほんご べんきょう してきて ください
いらっしゃいませ。ずっと試運転中です。予告なく変更しまくるつもりが仕様変更については手付かずです。

2012年9月27日木曜日

時の過ぎ行くままに

前回、お楽しみに〜と風呂敷広げたものの期待に添えるようなレポはできません。なぜなら食べ始めると夢中になって料理の撮影ができないから >_<。よってメインダイニングの食事内容は、例によって 参考ページ をご覧ください。
とはいえ写真はなくともブログは育つ。うまい、マズイが混在する口コミ情報について今回は私なりの見解を述べさせていただきましょう。と風呂敷広げてみたりして。

さて、お立ち会い。
好きか嫌いかで聞かれたら、私は金谷ホテルの料理が好きです。惜しむらくは料理によって力の入れ具合がアンバランス。これがコース料理を食べた時に違和感を醸す原因と見た。例えば途中で出て来るサラダがですね、喫茶店のランチサービス生野菜みたいだったりするんですよ^^; 。例えこのスタイルが古き良き時代のニッポン洋食なんだとしても、眉目麗しい外食を食べ慣れてるイマドキ日本人には手を抜かれた感が否めない。観光地価格で麗わしのお値段なわけですし、同じ金額で都市部ならどんな料理が出るか…とか   雑念の多いじゃなくて   経験値の高い人ほど「えぇっ?!」と思ってしまうのでは?
前菜の魚料理。味付けは抜群に美味しい!
んが!コンソメゼリーのキューブに注目
写真をご覧ください。お魚、美味しゅうございました。切り込みが入った団子状のゼリーキューブが載ってたんだけど、コレ絶対バラしたキューブを散らして完成品にするつもりだったはず。値段との兼ね合いで残念感が出ちゃうのは多分こういう部分^^;  お茶目で好きだけどね、こういうの。想像するに少数気鋭のプロが作った料理を多数の素人さん(失敬!)でサポートして切り盛りしてる感じ。これは実は金谷ホテル全般に言えることではないかと今回の宿泊で気がつきました。
味の評価はズバリ独創的。「ありそうで無い味」が多い。名物の虹鱒ソテー、アレに類する料理は他でお目にかかった事が無い。百年ライスカレーしかり、チーズブロートしかり。一見(一味?)どこにでもある普通の料理。だけど注意深く咀嚼して、その味のオリジナリティを堪能して欲しい。考えてみれば江戸から明治、大正にかけての日本人にとっての洋食とはどれだけキテレツ風味であったことか。バタ臭いなんて言葉が示す通り、昔の日本人にとって洋食がかなり苦しいモノだったことは想像に難くない。調理人にとっても、西洋人のお客と自分の舌の折り合いのつく着地点を探りながらレシピを構築してきたのではないでしょうか。その古き良き時代の味を踏襲してきたのが金谷の料理なのだなと思います。今風ではないけれど、懐かしい日本の舌に根ざした味、との認識で是非一度、試してみて欲しいダイニングです。

さて食後は1Fにあるバー「 デイサイト 」でターンダウン。薄暗い店内から通路の明かりをぼんやり眺めながらカクテルを。店内は真っ暗と言っても過言ではないのに、これが不思議と落ち着く空間。居間に転がした空き箱の中に猫が潜みたがる気持ちがなんとなくわかった。ただ、静かに。漆黒と沈黙を楽しむ時間。
ダイニングの装飾はやっぱりステキ!
と、突如頭上からすさまじく物をひきずる怪音が轟く。なんだろこれ、すごく懐かしい響き。そうこれは上の教室で掃除が始まって児童が机と椅子を一斉に移動させてる響きだ。Yes!バーの真上はメインダイニング。時計を見ずともダイニングが終了した時刻であることがよ〜〜〜くわかりましたよっと。
金谷ホテル、ここはプロと素人が手をとりあって切り盛りするホテル。それが持ち味でもあり、コストとのギャップに苦笑する部分でもある。金谷でかかるコストは有形文化財の維持費と割り切りましょう。そうしましょう。て、ちょっと待て!有形文化財なんだからダイニングの床をひーきーずーるーなーーー!ww

2012年9月21日金曜日

おいでよ散策の森

金谷ホテルに宿泊するにあたって楽しみにしていた事の第二弾。ホテルの散策路を歩くぞ!この日のためにトレッキングシューズも用意した。部屋で野良着?に着替えていざ出発!
大谷川散策路を降りるとこんな風景に逢える
金谷ホテルのロビー前にある奥庭から大谷川(オオヤと書いてダイヤなのね)に出る大谷川散策路はよく目につくので降りて行く人は多い。しかしもう一つの大黒山散策路、こいつが謎に満ちている。まず入り口がどこにあるのかわからない。ホテルの人に聞いて行けば良かったのですが、奥庭をさらに奥へ入った駐車場方面にそぞろ歩くうち、それらしき小径を発見。そこに分け入った私達夫婦が目にしたものは…。

仲間由紀恵と阿部寛の『 トリック 』てドラマありましたよね。横溝正史ばりの怪しげな村落に出向いては奇怪な事件に巻き込まれ、トリックを暴き…そう、あの舞台に使えそうなぁゃιぃ風情の散策路入り口を発見。大きな狛犬風の石像と、苔むして半ば朽ちたこれは…大魔神?!驚きのあまり写真撮るのも忘れた
なんというかね、深閑とした森の中でヒトの作りしものが野ざらしになった風景ほどぎょっとなるものはありませんね。まさに震撼。諸行無常というか「お前もこうなるぞ」という自然界からの無言の威圧感。誰かに見張られているような、田舎の山で子供の頃に感じた懐かしい「怖じ気」を思い起こしながらの入山。
その割りに、歩き出すと途端に猿みたいになって急峻な山道をえっほと駆け上ってしまいましたよ。子供時代、こういう崖みたいな斜面で遊ぶのが大好きだったんだ〜。そう、これは散策路と言うよりガケ。いろは坂よろしく、つづら折りになった細い小径を先導する私は何度も蜘蛛の巣を顔面突破しながら登頂。この事からも、このコースを利用する人が居ないことがわかる。猿と化した私は旦那に半ば呆れられながら10分程で頂きに到着。小さな社に手を合わせて周囲をぐるりと見渡すと、あらこんな所に農園が。
休眠中っぽく見える農園
後で知ったが、ここは金谷ホテルがGHQに接収されていた頃テニスコートとして利用されていた平地だとか。マッカーサーもここに立ったのね、と感慨もひとしお。打ち捨てられていたこの平地は現在 金谷菜園 として復活。…復活…してる?

 登ってきた反対側に別の小径を発見して、帰路に利用。こちらは一部、急峻な場所があったものの全体的に緩やかな斜面。やがて広けた空間に出るとそこは、あらやだ、ここって竜宮ですわ。
大黒山を降りると右手に竜宮出現
左手に第二新館が見える。避難路を渡るとここに出る


冬は氷が張るスケートリンク
本館3Fから出入りするために分かりづらく、意外と知られていない「竜宮」はプール、スケートリンク、展望室を備えたホテルファシリティ。空中庭園を思わせる高台にあり、オリエンタル情緒たっぷりな展望室(今は一階部分のみ写真展示室として使われている)と西洋式アミューズメント施設という異色の組み合わせは竜宮の名にふさわしい不思議時空。というか、大黒山散策路に入る人はここから出入りするっぽい。ちゃんと案内板も立っていた。
夏の終わりのプールはさびしい

ホテルHPには大黒山は健脚向きと書かれてる。所要時間を見ると…一周30~40分。うげっ、20分程で駆け上って駆け下りて来てしまったよ。どうりで下山時にヘロヘロになったわけだ。しかも次の目的地、大谷川散策路に向かうには、この汗だくでドロドロな状態でホテル内を通過せねばならぬ。正面玄関から「行ってらっしゃいませ」と見送られたばかりなのに恥ずかしい。というわけで二つの散策路を制覇したい方は、最初に竜宮経由で大黒山→大谷川というコース取りをおすすめします。
大谷川は岩場歩きができる靴を推奨。川縁に降りるのはただのフラットシューズで充分ですが、岩場も歩けるとなると楽しさ倍増。石の形状を見極め、足裏の感覚を頼りに岩場を渡り歩いて気分はすっかりなんちゃって渓流遊び。こんな風に自然と戯(たわむ)れるのは何年ぶりだろう。ただしトップの写真を見ても分かるとおり、本流はかなり流れも速く深いので自然となれ合うのだけはご用心。山遊び、川遊びの愉しさと怖さを記憶の奥底から甦らせて、なかなかに楽しいひと時でした。
お腹もいい具合に空いたし、次回はドラマ「白州次郎」でダンスシーンにも使われたというレトロなメインダイニングで夕飯だ!お楽しみに〜

2012年9月13日木曜日

眺めのいい部屋

引き続きオレンジスイートの景観について。
リビング部分の開口は二カ所。こちらは本館3Fと同レベルで窓が向き合う形になるため、かなりキツイ展開になるであろうと予測していたのですが…どうでしょうか。私は許容範囲。各自、写真を見てご判断ください。
下の二枚はホテル正面側の窓から身を乗り出して別館側を臨む形で撮影。視界に入る本館客室は屋上に面した三部屋だけで、他は実質ホテル施設室(スタッフルーム?)でした。左写真に見える煙突はバーの大暖炉のものと思われます。
本館屋上部分
屋上の下には新食堂がチラリ

ソファ横の窓から見えるのは
竜宮(プール)に繋がる通路の施設室

お次ぎは書見台窓の外を見てみましょう。
書見台の窓は左手が大黒山
窓から右手を覗くとこんな感じ
こうして見ると第二新館は2F以上であれば遥か遠くに山々を見渡せる眺めのいい部屋かもしれません。1Fをアミューズメント部屋に改装したのは賢明でしたね。
ソファ横窓から竜宮方面を臨む
田舎の祖父宅を思いだす
おまけ
寝室に寝転んで見る風景

部屋の中は広々しているので実に快適でした。中でも気に入ったのはカッシーナのソファ。座面が低いソファも良いものだな、と座り心地の良さにうっとり。バーコーナーにあった紅茶「クリームオレンジ」の本当にクリーミーな味わいにもまったり。そしてウェルカムミュージック?の鳥山雄司のギター演奏DVDに不覚にも癒されてしまった。(このDVDはわざわざ鳥山さんがこの部屋に来て演奏してる映像というおもしろ企画品)
さて部屋で少しくつろいだことですし、今回の宿泊の目玉の一つ、散策路探検に出かけてみましょう。詳細は次回で

2012年9月6日木曜日

第二新館を探せ

歴史有る日光金谷ホテルの4棟のうち3棟は有形文化財登録を受けた建物だというのに、あえて登録がされてない第二新館に宿泊。この酔狂な企画の理由を尋ねられても明確な返答ができない。強いて言えば、金谷ホテルは日光をドライブする際によく利用しており、その都度「あ〜、いつかここに泊まってみたいわ〜」と羨望の眼差しで別館を見上げるのがお約束のようになっていた。本当に泊まっちゃったら、その台詞はもう言えなくなる。憧れは憧れのままにとゆーか、お楽しみを先延ばしにして長く楽しむとゆーか…自分でもよくわかんないや。(旦那のホンネは古い水回り設備がキライ、という所にありそうな気もしますが^^;)私達夫婦はこうした変な思いつきで行動することが多々あるために、今回の旅行もいろいろと…それはまた別のお話。
クリックすると拡大する  かも

それはともかく第二新館潜入記。行ってみよう!まずは避難経路案内図から。本館はレトロな装飾がステキなメインダイニングのある建物。図の手前側がホテル正面で、18号室の1F部分が回転扉のある入り口。本館と第二新館1Fを繋ぐ余白部分は本館2Fの屋上にあたり、この下に新食堂(メインダイニングの拡張スペース)と厨房がある。ちなみに本館奥に斜め通路で繋がれた建物が新館(の2F)。別館を新館と紹介しているサイトも多々ありますがそれは間違いですので宿泊の際にはご注意下さい。
どうでしょう。本館入り口は回転扉が有名ですし、別館は専用の立派な玄関があるから良いとして、第二新館の入り口がどこだかわかりますか?
答えはこちら。
1F珈琲ショップ、メイプルリーフ脇の通路をカレーの匂いに包まれて進むと階段が出現。ここを登ると左手に新食堂の入り口があり、右手前方には立派な構えの内扉が(左図の新食堂横通路が右に折れた所)。この門をくぐればそこが第二新館のB1。通路を左に折れて(図の切れ目付近に)折り返す形で振り向くと階段室とエレベーターがあります。
これが第二新館入り口
よく見ると眠り猫が居ます












そう、つまり入り口は案内図にはない第二新館B1=本館2F部分にあったのであります。なんとも複雑怪奇。 カリフォルニアのミステリーハウス を彷彿とさせる。あれよりはずっと快適ですが。
さあ、ずんずん参りましょう。今回宿泊したオレンジスイートは第二新館の1F。階段をとことこ登るとすぐそこが目当てのお部屋。
扉を開けると…
地階に続く階段

 オレンジスイートの詳細はこちらをクリック 
部屋の写真はプロのページに任せるとして、私は誰も書かない部分についてリポートしましょう。なんせ景観のまずさから人気がなかった部屋という話ですからね。そこんとこは誰しも気になるところでしょう。
寝室奥からの眺め
ちなみに我が家の居間の眺め
 まずは謎に包まれていた寝室の窓外風景から。第二新館はホテル裏側の大黒山斜面に貼り付くように立てられています。よって当然のことながら寝室側の窓の外は大黒山…を掘って石垣で固めた風景。景観は期待できないと最初から分かっていたので、むしろ誰が通るわけでもないこの風景はこれはこれで許容範囲。というより、これ・・・ウチの居間の風景とあまり変わらないかも。
今明かされる第二新館の外観 の、裏側
左の写真は大黒山散策路から第二新館の裏側を撮影したもの。3F非常口から渡り廊下で大黒山に繋がってた。(つか、この古い避難路は本当に渡れるのか? ^^; )
写真右手へ進むとすぐに竜宮(プールとスケートリンク)に出られる位置関係。
山の緑に覆われ、成る程どのサイトに行っても第二新館の外観が見られないはずだわ。次回はリビング部分の窓外風景をリポートします。お楽しみに〜

2012年9月1日土曜日

歌を忘れたカナヤには

歌を忘れたカナリアは象牙の舟に銀の櫂
月夜の海に浮かべれば忘れた歌を思い出す
こちらが有名な別館
Nikko Kanaya Hotel is a famous historic hotel
帝国ホテルに続くヒストリックホテルシリーズ(シリーズ化できるのか?!)第二弾。日光金谷ホテル宿泊記でございます。御用とお急ぎでない方はごゆるりとご観覧くださいませ。時は明治の始め…と、 来歴について はネットで沢山出てるのでそちらを参照ください。今回の私は誰も書かなかった金谷ホテルの第二新館の謎に迫る!をテーマにしております。
明治の建物がそのまま使われている金谷ホテルは正統なるクラシックホテル。中でも箱根の老舗 富士屋ホテルの華御殿 の手本となった別館の風情たるや、ため息の出るようなクラシカルっぷり(別館は昭和10年竣工)。「いつかは泊まってみたいものだ」とずっと考えておりました。その憧れの金谷ホテルに泊まる機会がついに訪れたのでございます。

正面玄関と右手の別館が有名ですが
視線を左にそらすと本館奥にひっそりと第二新館の姿が
日光金谷ホテルには明治期に建てられた本館、新館、そして昭和初期に建てられた別館の他に謎のべールに包まれた第二新館なるものがある。この第二新館、戦後に建てられた鉄筋コンクリート建てで、どうやらスタンダードタイプの部屋が集結している様子なのですが驚く程情報量が少ない。そもそもこの建物だけは外観写真を見つけられない。どこから入っていくのかも謎。スタンダードに泊まった人の体験記を見てもロビーやダイニングルームのすんばらしさに言及してもお部屋、ましてや第二新館を取り上げた話はほとんど全く出て来ない。これは…早くもオケラのかほり。イメージ的に戦後の高度経済成長期にヒョイと建てられた団塊チックな棟。それが第二新館。それはそれで平成の今となっては歴史の一つと捉えられなくもないですが。

口コミ情報で情報を得ようとしてさらに驚いた。スタンダードで予約をしたお客様のほとんどが当日アップグレードで別館や本館に「泊まっちゃいました♪」みたいな話がちらほら。もしかして第二新館というのは実在してないのでは…な〜んて新説をぶち上げたくなる程の謎っぷり。
いいでしょう!これは私がやらねば誰がやる。第二新館に泊まってレポしてみようじゃないですか!というわけで?第二新館に一つだけ作られた小山薫堂プロディースのスペシャルルーム「オレンジスイート」に泊まることにしましたよ。
国指定登録有形文化財に指定されている、本館や新館、別館などの客室に比べると、昭和36年に増設された第二新館にある150号室は、時代的にも若干中途半端な印象を受けてしまう。スイートルームで広いけれども、客室からの景色が良くないという理由で、あまり利用されていない部屋です。ホテル側に、この150号室を好きに使っていいかと打診したことが今プロジェクトの始まりです。(小山薫堂オレンジスイートプロジェクトより抜粋)

あ、やっぱりそういう場所なのね。果たして歌を忘れたカナリヤは歌を取り戻しているのか否か。詳細は次回より。謎の第二新館情報をたっぷりとup する予定でっす。お楽しみに〜