いらっしゃいませ

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2012年4月7日土曜日

チーム夢幻

高橋葉介の『夢幻紳士』を初めて読んだのはかれこれ四半世紀前。アニメージュから派生したコミック雑誌『リュウ』で見知ってその独特の作風に引き込まれた。しかし当時のお目当ては何と言っても 安彦良和『アリオン』  ふくやまけいこ『ゼリービーンズ』そして 吾妻ひでお『ぶらっとバニー』(どーゆーラインナップじゃ^^; )で夢幻紳士に関しては熱心なファンというわけではなかった。夢幻紳士がいろんな雑誌で二十年以上に渡って粛々と連載を続け、根強いファンがついているのも知っていた。けれども大人の階段登った私が手に取る機会はついぞ無かった。

先日、ほんの出来心で復刻版?を購入。読んでびっくり。夢幻くんってこんなだっけ?もっと無邪気で残酷な少年だったと思ったけど、出て来るのは艶っぽい青年。よく見たら私が買ったのは『夢幻外伝』の方だった。いささか行き過ぎな猟奇的シーンは私の趣味ではないけれど、初めて見た時の独自の風味は変わらず健在。他の人と違う持ち味があるのは目をひくし、その世界を維持していくのは本当に偉大なことだと思った。(夢幻紳士に関してはある意味、主人公が分裂してチームみたいになってますが…)
バブルからその崩壊に向かう時代、スプラッタやえげつないホラーがやたら流行った時期があり、高橋葉介もその潮流にのった作品を出版社の意向で出してるのかな?と思っていたが、今回あとがきも含めて読み込んで彼が根っからのオカルト・ホラーの人だと知った。中でも興味を惹かれた発言は「世の中が勧善懲悪ばかりでないことを初めて知らされるのは子供時代に読むホラー作品」というくだり。気がつかなかったけれどホラーには確かにそんな側面があったかもしれない。子供が出会う初めての不条理。だとしたら尚のこと子供時代に出会うホラーは良質のホラーであって欲しい。ちなみに夢幻外伝中、私の一番のお勧めは「水妖」。ミステリーとしてもホラーとしても読後感が素晴らしい。
あさひコミックス版
絵柄がどんどん変わるのもチーム夢幻の持ち味?
phantasy rather than fantasy
 水妖 魔実也の友人、幾内克夫は水面に女の顔が浮かんで見えるという奇癖持ち。ある時、水面の女と瓜二つの女性と出会い結婚を決意する。物の怪でないことの確認を頼まれた魔実也が発した忠告は「水面に浮かぶ女の顔は実は水底に沈む君が見上げる女の顔」というもの。幾内の下した決断は。。先が読めそうでいながら、見事などんでん返しの応酬。人が持つ狂気とそれを傍観する冷淡な探偵紳士。最後の1ページはぞっとするのになんとも美しい。美しくなければホラーじゃない!本屋さんへ急げ

さて一部女性ファンから熱狂的に支持される夢幻魔実也の魅力について考察してみた。よくある評価は「酷薄なのに憎めない」というもの。薄情=媚びないから格好良く見えるというのはなんとなくわかる。でもそれだけだと嫌みでイケ好かないよ。憎めないと言われる由縁はなんだろう?
考えてみるに、彼は一貫して生者と死者を分け隔てなく接している(とりわけ女性なら来る者拒まず)。この誰に対しても一貫した態度というのが万人にウケる秘訣。マジでマジで。学生時代、研究室にそういう男子学生が一人いた。チヤホヤされてる女子にも煙たがられてる女子にも(←言っておくが私のことではない!)一貫した態度を貫く彼にはどっしりした安定感があった。それが女子ウケの秘訣。
でも考えてみたら決して彼はモテモテじゃーなかったな。好かれる事とモテる事とは別の話らしい。色男になるのは、まっことムズカシイ。

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