いらっしゃいませ

にほんご べんきょう してきて ください
いらっしゃいませ。ずっと試運転中です。予告なく変更しまくるつもりが仕様変更については手付かずです。

2018年10月7日日曜日

女の処世術

隣街の雑木林に忽然と出現した ”隠れ家的古民家カフェ” に、ポケGOの途中で立ち寄ってみました。本日はその感想とそこに付随した亜空間思考の紹介。

随分前からそこにカフェができたことは風の噂で知っていた。古民家をカフェに改装して、食事には有機栽培の野菜を取り入れ、体と心に優しいロハスな雰囲気に満ち溢れた小物の販売もするし、定期的に良い雰囲気の映画の上映会なんかもしちゃったりなんかする色々な試みに意欲的に取り組んでるカフェという触れ込み。
ロハスに興味は無いけれど、近くまで来たことだしと全くの冷やかし客として入ったわけですが店内に入って「こんにちは」と声をかけるが反応は無い。店員は皆、厨房作業に集中して頑なにこちらと目を合わせない。
全員、人見知りかな?と思いつつとりあえず販売スペースの棚を拝見。その一隅にカフェスペースのウェイティングシートが置かれていることに気づいて名前を記入。これが無ければ、誰からも相手にされない雰囲気にいたたまれなくなって帰るしかなかった。店内からは隠れ家カフェには似つかわしく無いほどのお客さんの喧騒が聞こえてくる。
待つことしばし。ようやくカフェスペースに案内されて「繁盛してますね」と声をかけるとそれまでとは打って変わって気持ちの良い対応で「今日はたまたま団体のお客様がいらしてるんです」との由。客席に着いてからの店員さんの対応は実に物腰も柔らかく好印象で、入店時の排他的な雰囲気が嘘のよう。気を取り直してメニューの説明を聞く。
ここは土鍋ご飯が名物らしく、しかも今月の土鍋ご飯は「鯛めし」だという。鼻腔に鯛めしの芳しい香りを妄想しながらもあまり時間がなかった私は「でも鯛めしは時間がかかりますよね?」と躊躇っていると「そうでも無いです」という意外な返答。「じゃあ、鯛めしで!」
お値段はそこそこ張るけど、なかなか食ベる機会のない鯛めしに思いがけない状況で邂逅した喜びにホクホクしているところへ出て来たものは!
小さな土鍋にご飯をよそってその上に鯛?の刺身をちょろりと載せたものでした。
違うよね?これ、違ってますよね?
いえね、鯛茶漬けみたいにご飯に鯛を載せたもので鯛めしというのがあるのはわかる。百歩譲って塩焼きにした鯛のほぐし身を土鍋ご飯の上に散らして出すこともあるだろう。でもね、土鍋ご飯で鯛めしつーたら、普通は土鍋で鯛と一緒に炊いたご飯を想像するよね。お値段もそれなりだったわけですし
少々絶句しながらも出されたものはありがたく頂戴する。背後では入店時から騒音の発生源になってた奥様連中がいまだ声高にお店の雰囲気を絶賛中。
「お庭が素敵!」「古民家カフェっていいわよね〜」
違う…これは違うよ。一般的に古民家を改装したお店というのはそこそこ歴史と風格がある建物をその雰囲気を損なうことなくお店に仕立てたものを指すと思っていたんだけれど、ここは…高度経済成長期に量産された極一般的な庶民のお宅です。正直、奥様連中の喧騒が無ければここがお店だとはわからないくらいに古く傷んだパンピーの一軒家だったのでここがその「古民家」だとは思わなかった。古い民家という意味では間違いではないだろうけど、しかしいわゆる古民家を売りにした商売をするには、土鍋に別炊きのご飯をよそった土鍋ご飯くらいには何か違ってますよというツッコミを入れたくなる。経営側がわかってないままイメージだけでやっているのか、あるいはわかってない人を対象にイメージ先行の集客商売をしているのか判別がつかない。(唯一、擁護するとすれば外観はともかく内装はとても工夫しておしゃれ空間にリフォームしてありました)
お庭もね…学生時代に造園部に在籍していたので言えるのですがプロの仕事ではないのです。素人が趣味でやってる程度には楽しそうで微笑ましいのですが、店内にはお庭の施工も承りますという張り紙があって、いやいやいや、この庭は正直危ないって感想が否めない。隠れ家カフェというよりは隠れ里に近い鬱蒼とした雑木林に走る細い獣道。ここが正規の入店ルートらしいのですが、雨のこの日は実に危険な足元の作りだった。プロの仕事なら危険な設計はご法度でござるよ。
イベントの映画上映も林に張ったスクーリンで野外上映らしいのですが、映画館と同じ料金をとるのには恐れ入った。映画館は設備費を含めてのお値段ですよ?
あの鯛載せご飯に一般的な鯛めし金額を提示したのは、根底に流れるこのイメージ先行金額設定があるからなんだと合点が行った。それでも他に選択肢のない地元の人がありがたく思って通うのであれば、それはそれで存在意義はあるのでしょう。

昔、ママ仲間(ママ友と呼ぶほどの付き合いがない)がアクセサリーの販売を始めた昔の友人からダイヤのネックレスを安く買ったと大喜びで見せて回っていた品がどう見てもジルコニアだった時の複雑な心境をふと思い出して帰路についた。その時は聞いたお値段もジルコニア相当だったのでまあ問題はなかろうし、本人が喜んでいるものを「それダイヤじゃないよ」とは誰も言わなかったけど、ダイヤだと信じた人の何人かは彼女のツテでそのジルコニアを購入していたし、彼女らがやがて明らかにプラスチックみたいなアクセサリーを一斉に身につけ始めた時は他人事ながらハラハラしたものよな。
ジルコニアと天然ダイヤの見分けは素人目には無理と言う人もいるけど、どうなんですかね。光り方は全く違いますよね?質の高いジルコニアは知りませんが少なくとも当時は私を含めて幾人かの奥様はコレは違う…と思いながら目をつぶっていた模様。「本物はこんなだけど」と良かれと思ってやっちまった奥様が酷い目にあわされたことを後日談で本人から聞いた。
ことほどかように時として本当のことを言うと大変な事態を招くのが女の世界の厄介なところ。余程のことがない限り、大多数が信じた誤りを正すような真似はしないのが女の処世術。真実を明かすにも並外れたスキルが女の世界では必要なのでございます。

そして大概のことは目をつぶる私でも食べ物の恨みだけは決して忘れない(^ ^;)
ああ、本当の鯛めしが食べたい。

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