うなぎの季節。私たち夫婦は頻繁に、とはいかないが年に2〜3回は鰻屋に出かけます。なのでわざわざ混んでる土用の丑の日を狙って食べたりはしない。むしろ夏場は避けている。ですが今年は珍しく7月のうなぎを食べに行ってきました!憧れの『明神下神田川本店』!!という訳で美味しいもの備忘録。
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日本家屋の風情は無くさないで欲しいものです |
(神田)明神つーても場所はほぼ秋葉原。高校生の頃はまだ青果市場があったせいで、秋葉原の駅前はいつも路面がびしょ濡れ。常に足元の水たまりを気にしながら歩いたものだな〜と記憶を辿りながら明神方面へ。通りに面してビルに挟まれながらひっそりどっしり構えられた店舗が見えてくると心も弾む。この風情ある玄関の暖簾をくぐる日がやってくるなんて、十代の頃には想像もつかなかった。大人になるって素晴らしい。
下足には若い女の子がいて愛想よく案内をしてくれた。靴を脱いで二階に通されると意外にも広々とした明るい廊下が奥へと続いている。鉤型になった廊下をくるりと巡って一番奥のお座敷へ。なんて広いんでしょう。『尾花』(南千住)のような大座敷での相席を想像してたけど、これはなんともきちんとした料理屋。若い頃なら気おくれしてしまうような立派なお店も、今は素直な気持ちで感心したり動揺せずに過ごせるようになったから歳を取るのも悪くない。
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おしながき |
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お通し、サーモン、帆立、白海老 |
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白焼きは一つを二人分に分けてくれた |
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うなぎ、しみじみ美味しい |
まずはビールをいただいて、うざくとお通しでうなぎの到着を待つ。お通し(有料)は頼んでも頼まなくても良い、とのことでしたがせっかくなのでお願いしたら素敵な小料理が運ばれてきて余は満足じゃ。値段は失念。お品書きにも書いてない。千円くらいしたかな?ちびちびやってる間に白焼きが運ばれてきたので冷酒に移行。
蕎麦屋呑みも楽しいけど鰻屋の焼けるまでの、この待ち時間が本当に楽しい。きこしめす、という言葉がしっくりとくるひととき。
聞けば一階にはテーブル席もあるとのこと。原則、個室利用で奉仕料もつくけどこの料亭感(←数回しか経験ないけど)でゆったり過ごす時間が持てるならハレの日飯には良いのではないでしょうか。「どうぞゆっくりとしてください」という接客対応が何よりも気持ちよく「贅沢な時間を過ごせたな」という感想。お値段的にも贅沢ですからね。堪能しないと損そん。踊らにゃソンソン(^^)
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お座敷の障子を開けると ほおずき市の風鈴がずらり 日本の絶滅危惧的風景 |
うざくは丁寧に仕上げられた上品な一皿。でもやっぱり『大和田』(千葉県柏)を超えるうざくはなかなか無いと再確認。うなぎに関しては各店舗みんな違ってみんないい。どこで食べてもきちんとしたお店のうなぎには
うなぎ愛がみなぎっていて美味しいってばよ。
どうあがいても家で食べるうなぎは太刀打ちできないと悟った20年前から私はスーパーでうなぎを買うことをやめた。うなぎが絶滅危惧種指定を受けた頃からは貴重なうなぎ資源を無駄撃ちする廉価なうなぎ商売に憎しみすら抱くようになった。
つい最近は台湾がニホンウナギを最高位の危険度に指定したことで世間を騒がせたばかり。このニュースの前に神田川に行けたので正直危なかったな〜と思っている。
世間では「うなぎを食べるな!」というムーブメントも一部で起きそうな気配があったけど、私はむしろきちんとしたお店できちんと食べられるといいのにな、と思う。明神下神田川のような老舗の正統派な鰻屋が絶滅してしまうのはなんともあじきなし。うなぎと一緒に鰻屋も守ってあげてください。