いらっしゃいませ

にほんご べんきょう してきて ください
いらっしゃいませ。ずっと試運転中です。予告なく変更しまくるつもりが仕様変更については手付かずです。

2015年12月13日日曜日

アスカ 乗客編

最終夜のデッキ。とても静か
楽しかった旅ももうすぐ終わり。実に名残惜しい。夜の船内をウロウロしながら誰もいないデッキで夜風に当たり、しばし独りの時間を楽しむ。ここらでいっちょ目先を変えて、船で出会った人達のお話など。
初めての場所に行く時は「場違いだったら嫌だな〜」なんて周囲の様子が気になるもの。これから飛鳥IIに乗ってみたいとお考えの中にはそうした不安をお抱えの人も居るでしょう。というか、自分がそうでした。てなわけで船内の乗客事情をざっとご紹介。

まず最初に驚いたのは車椅子のご老人が意外といらしたこと。実際にはある程度歩行が可能だけど簡便だから移動は車椅子で、という方がほとんどだったかもしれませんが足元がおぼつかなくても旅には行きたい!というそのバイタリティの高さに感心しました。お金があるお年寄り、という条件の他にバイタリティがあるというのも旅の極意なのでしょう。お金があるからバイタリティが高いのか、バイタリティがあるからお金を引き寄せる力があったのか、なんとなくその両輪を感じるそんなお年寄りを多数散見。あやかりたいものです。
次に「意外と多い」と感じたのは一族郎党を引き連れた旅人。祖父母世代とその子供夫婦with 孫世代という大所帯がダイニングの円卓を囲んでる風景がちらほら。豊かな老年世代のおこぼれに一族が預かってる雰囲気。というのもこの手合いは祖父母世代が多いに張り切ってる。もちろん子供世帯が奮発して老親世帯を歓待してるのかもしれませんが、その辺は定かではない。
お部屋担当者はフィリピン女性
一生懸命書いたカタカナが微笑ましい
かくいう私達親子も「親子旅なんて素敵ね。いいお母さんで羨ましいわ〜」と案に母のおごりで乗ってる風味に声をかけられることが多かった。母娘の組み合わせも多かったようですが、してみると母が出資して娘と…というパターンが多いのでしょうかね?実際は娘の私が有り金はたいて母を招待したわけですが、肝心の母が「母の奢り」という勘違いを否定せず澄ましているので、これも親孝行の一つと心得てそういうことにしておきました。 閑話休題

にぎやかな女性グループも見かけましたが、やはり圧倒的に二人一組、特に老親介護を終えた世代のご夫婦が一息入れて乗船してる、というパターンが多かったように感じます。そうしたご夫婦と食事でご一緒した時には「いかに健康を維持してポックリ逝くか」というお話を多数うかがえました。足腰の筋力を鍛えることが寝たきり期間を短くするコツだそうです。う〜む、頑張ろう。
もちろん、お一人でご乗船の方もいらっしゃいます。男性だと老年の方、女性だと中年〜初老といった感じの方が気ままでリッチな一人旅を楽しんでいる様子でした。実際、友達同士で飛鳥IIに乗ろうなんて企画は、資金面で足並みを揃えるのが難しそうだからなかなか実現しそうにない。罪なやつだぜ、アスカ。

利用しなかったけどルームサービス表
スイートは内容が違うらしい
さて最後に賭博編でもさらりと触れた、最終夜のカジノ台で遭遇したブルジョワ層のお話も備忘録。ご一緒したのは3人の女性。
私の右隣に陣取った常連と思しきマダムは身につけているもの全てがゴージャス。社交的で華があって一緒に居ると楽しい時間が過ごせるエンターテイナータイプ。場の雰囲気を牽引していく力がある。ひそかに「マダム芦屋」と命名。芦屋住まいかどうかは知らないけど^^
左隣は寡黙で一見地味だが宝飾品はかなり意匠あるデザインの良い品を身につけていらっしゃる。こだわりの強さを感じさせ、また一番年かさの様子なのに眼光鋭く勝負師の気配も漂わせている。この方は私の見立てでは「女社長」。長らくビジネスの世界で丁々発止のやり取りを続けて来たような貫禄ある御婦人だった。
娘さんと思しき人物に見送ってもらって一番奥の席に着席した女性は「大奥様」。物腰が柔らかく育ちの良さを感じさせる上品な笑顔。それでいて一人でカジノ台に出向く茶目っ気も持っている。
三者三様の齢(よわい)の重ね方が見て取れて実に興味深い。何よりも各人が物怖じせずに独りで参戦してくるその心意気よ。心の底からこの時間を、そして人生を謳歌しているその姿。たまんないね!
自分が年老いた時、どんな姿になっているだろうか。境遇という点では運次第なところもあろうが、せめて心意気だけでも素敵な女性でいたい。独りでも行きたいところへ出向いてゆく気っ風の良さを持っていたい。この夜、カジノ台をともにした女性陣のキラキラ感が眩しくて、年老いてゆく上での一つの目標になった。
ちなみに私が一番憧れたのは大奥様。自己主張することがないもの静かな印象なのに、勝負どころで私が勝ったときなどアイコンタクトで賞賛してくれたりして一緒にいて心和む女性だった。またちょっとした所作がいちいちチャーミング。おそらく良いところのお嬢様が良いところに縁付いて、良き時代をつつがなく過ごされた、そんな穢れのなさを感じさせる天真爛漫な老婦人。こういう方の所作を間近で拝見できたのが飛鳥IIに乗船した一番の収穫だったかもしれません。

旅は道連れ。たくさんの人生が一つの船上ですれ違う。百聞は一見にしかず。どんな経験もやってみるものですね。皆様も良い旅を。次回で下船いたします。

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