今日は物欲のお話。食い道楽系の私は身につけるものに無頓着。服はもちろん、鞄も靴も気に入ったアイテムが各カテゴリーに一点ずつあればそれで良くて、文字通り擦り切れるまで使い倒したら次の一点を物色して乗り換える形式で生きてきた。
そんなオシャレからほど遠い私の持ち物で一つだけ「あら、それちょっと見せて」と人から求められ誉められるアイテムが今回のモノがたり。
カルティエのリング「トリニティ」 でござんす。
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スリーゴールドトリニティ
現在はウェディングリングのシリーズ |
このリング、私にとってはいわくつき。そこそこ長い結婚生活の中で旦那が私を大激怒させたことがありまして〜
その話は長いから割愛 ^^; んで、その後仲直りの際に旦那から「一つだけ高価なものを君に買うよ」と提示されて私の所にやってきたリングがコレ。
そういう経緯で品物を手に入れるなんて、正直私の趣味じゃない。だってソレを見るたびに大激怒した嫌な思い出まで甦ってしまいそうじゃないですか。装備したら大変な事が起こりそう。そんなの
呪いの指輪ですよ。冗談じゃ〜ない。
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20年以上前のナンチャッテ三連リング
傷だらけだけど思い出の品 |
でもその時だけは仲直りのための儀式みたいなものと思い、素直に旦那の提案を受け入れた。と、こ、ろ、が、ですよ。高価なものと言われても前述のように美味しい物以外の欲しいものなんてさっぱり思い浮かばない。貧弱な発想で高価=指環かしらねぇ…と相成りました。
愛をあきらめたものだけが鍛造できる覇者の指環はラインゴールド(ニーベルングの指環)。家庭を支配しよう、と思ったわけではないけれどゴールドの指環がいいな…という安直な発想が涌き起る。
その時、一つの指環がひらめいた。学生時代、仲の良い友人がはめていたのがトリニティデザインを模した三連リング。私は人の所持品を欲しいと思ったことはないのですが、この指環だけは唯一の例外品。シンプルでありながら存在感があって、手持ち無沙汰な時には指でくるくる回して遊べるのも楽しい(傷がつくからこのアソビはあまりオススメしない^^)。すっかり友人のリングに魅了された私はマネして購入する許しをもらい、プランタン銀座で手に入れた(当然カルティエには行けないのでナンチャッテ三連リングですよ)。
あの指環を中指につけていた頃の私は元気ハツラツな学生で、自分の将来が明るくて何でも出来るという(裏打ちのない)万能感に溢れていた。三連リングをくるくると弄びながら友と夢を語ったあの日々よ、もう一度。つか、今度はマネっこリングじゃなくて本家本元のカルティエさんで
トリニティリングぷり〜ず!
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つけたらこんな感じ |
来て見て触って吟味して、三連リングの弱点はこすれてかなり傷がつくこと。そんなわけでくるくるアソビは出来ないけれど、トリニティの意匠を取り入れたモダンデザインのタイプを最終的にチョイス。店員さんによると新しく立ち上げたデザインとの話でしたが今HP見たらトリニティリングシリーズからは消えていて、現在はウェディングリングシリーズ(スリーゴールド)として扱われているっぽい。ちなみにお値段はHPに出ているものよりもっと安かったですよ。金の重量が違うのか、あるいは金の価格が上がったせいなのか…。
さてここでトリニティのいわくを復習しましょう。詩人のジャン=コクトーが身につけていたこのリングは、友人であるルイ=カルティエにデザインを依頼した『愛する人のためのリング』と言われています(←しかしこれは日本限定のガセネタ説もある。しかも愛する相手はオホモダチだった)。カルティエ公式HPにおいてはこのリングの三色ゴールドを「ピンクは愛情、ホワイトは友情、そしてイエローは忠誠を表す」としています。
この逸話を読んだ時に、仲直りの印にこのリングを選んで良かったと思いました。以来、身につけるたびに結婚生活に必要なものを思い出させてくれる。
愛と友情と忠誠のリング。すんばらしいじゃないか。もう
ゴングは鳴らさないでね。(今年の正月に一悶着起こしたけどね ^^;)
総括。
モノを買う時はそこに付随した物語をこそ買え。物語は色あせない。そして失われることもないから。