入学式スタイルの検索中に卒業式のお母さんスタイルについての記述が目に飛び込んできた。折しも子供の卒業式前。興味があって幾つかの記述を覗いてみる。総括するとイマドキは「卒業式には厳かに暗い色のスーツを、入学式には明るい色のスーツを!」という流れだそうだ。これ、アパレル業界の陰謀としか思えない。お母さん達を惑わしてスーツを2着購入させるためのね。
ダーク系ねこ Puss in sandals |
ちなみに西洋の男性用セミフォーマルがダーク系スーツなのはエスコートする女性の衣装を引き立たせるため。その説を信じるのなら女性が葬式でもない場所でブラックフォーマルにこだわるのは得策ではない。まさに「本末店頭」なお話。葬式以外のシーン向けに黒を奨めるのは「やっぱり黒は喪服に見えちゃうわねぇ」と後悔させて再び別の衣装を買いに走らせるお店の戦略じゃないのかっ。最近はしたり顔で嘘のマナーを若い子に吹き込む店員も多いらしく、特に結婚披露宴で恥をかいたという愚痴をネット上で見ることも多い。お店の利益しか頭にないような接客をするなよと声を大にして言いたい。
と、思ったら日本の津々浦々に「卒業式は喪服?!が常識」という地域が点在するそうだ。所変われば流儀も色々あるものなのね。ブラックフォーマルを喪服と言い間違っただけでは…と思わないでもないですが。
実際問題、こまけー事を言えばブラックフォーマルは生地からして弔事用と慶事用があり、本来は分けて持つべき(と私は思ってた)なのに、上述の商売上手サイトにおいては「卒業式は黒。この機会に慶弔に併用できるブラックフォーマルを是非ご検討ください」なんてススメてくれちゃったりしてる。時代が変わって今はそういうのアリなのかもしれないけど、いやどう見ても併用可能タイプは縛りがキツい弔事用寄りにデザインされてるっぽい。結局のところ、慶事にも弔事にも中途半端な感じが否めない。
お店の人の言うこと(慶弔併用を別れの卒業式に!)を信じて買った人がこれまたネットで拡散してくれたりなんかしちゃうから、いよいよそれが「しきたり」として伝播していく。つかね、卒業も入学もいつでもどこでもベージュ系スーツで出かけちゃう私なんか、またしても涙目ですわ^^;ちなみに首都近郊@昭和の最後っ屁な時代に育った私の記憶では卒業式に真っ黒を着る女性は、壇上に上がる人以外あまり居なかったと思う。ここ一番では着物という人もまだそれなりに居た時代で、色無地を主体として会場は色とりどりでした(母はえんじ色の着物だったな)。
まあ地域や時代で変わるものをアレコレ言っても仕方ない。よし、そんなに言うならイマドキの卒業式会場を確認してみようじゃないですか。他の人が何着てたかなんて常に記憶にないから俄然興味が湧いてきた。というわけで今期の卒業式は急遽、お母さんファッションの観察式とあいなりました。
抽出場所。都内北部の中高一貫私立高校卒業式。生徒数は約300人規模。お母さんの格好に限定して観察だ。
結論。暗色系(黒、紺、灰)とその他系(アイボリー、ベージュ、パステルカラーなど)は6対4といったところ。ブラックフォーマルは教職員と来賓席の一部に見られるだけで数えるほどしかいなかった。私の印象では、よほどゴージャスなコサージュやキラキラ系ジュエリー(昼の式典には実はキラキラは不適合)をつけていないかぎり、やはりブラックフォーマルは喪服にしか見えない…。というか、率直に「お葬式でもソレ着ますよね…」という微妙な気持ちにさせられる。
そんな中にあって和服の人は王道で間違いがない。不動の正装感があって場に最もふさわしい印象。最近は和装もそこそこ流行ってるし、業界と販売員が本気で取り組めば「卒業式は着物が常識」なんて時代も来るかもね。
さて卒業式の帰り道でのこと。電車内の広告で「ルールを守る人とマナーを守る人はどちらが大人?」というポスターを見た。ルールは決まり事。これを守るのは大人なら大前提。一方マナーはルールを踏まえた上で自分で考えて決める行動や所作のこと。そう考えればマナーをちゃんと意識して決めた服装なら、不幸にもローカルルールから外れてしまった時だって何ら恥じることはないのではないかと思う。上述卒業式の(私には)喪服に見えた服装だって、その人がきちんと式に臨みたいと思って決めたものだとわかるから「縁起が悪い」とか言って目くじら立てる気にはならない。
というわけで、私のベージュスーツも「んま!卒業式なのにあの人ダーク系のスーツじゃないわっ。不謹慎ね」とか思わないでくだちゃい。←今回のテーマはズバリ、これ ^^;