いらっしゃいませ

にほんご べんきょう してきて ください
いらっしゃいませ。ずっと試運転中です。予告なく変更しまくるつもりが仕様変更については手付かずです。

2013年5月22日水曜日

イズモの諸君

ヤマトの話題の次なので出雲をチョイスしてみました。今回は『古事記』でございます。面白いんだけど前半の神様がぽこぽこ生まれるくだりとか、その名前が漢字だらけで読みづらい所とか、痛快な物語がある一方で意味不明な話が随所に混ざったり、全部を読むのはなかなかに骨の折れる作業ではありますが、日本人なら一度は読んでおきたい日本昔話(?)でございます。
オオクニヌシと妃、仲直りの場面より
そこでオススメしたいのが、 こうの史代『ぼおるぺん古事記』 
これ、感心する出来映え。←エラそうな物言いで恐縮ですが、本当に脱帽しました。何が凄いって漫画ながらも原文のまま読ませてしまう大胆な試み(下に注釈が出ているので問題なく読めます)。そして漫画ならではの手法で八百万の神を図解で(^^;)納得させる明快さ。残念ながら今のところ「上つ巻」であるところの神武天皇が現れるくだりで漫画は完結しています。全三巻。続編を切に希望する!
イザナギとイザナミの活躍からヤマタノオロチまでの一巻 天地創世
オオクニヌシの謎に満ちた国譲りまでの二巻 出雲繁栄
アマテラスがニニギを遣わして神代の終わりを迎える三巻 天孫降臨

日の本(ひのもと)の国の創世の謎を古事記を元に解きはじめると、想像の翼がとめどなく広がり実に興味深い。神ツ国である高天原(タカマガハラ)が大陸であるとするなら、そこからイザナギとイザナミがやって来て八洲(ヤシマ=日本)を造ったのは、すなわち大陸から渡来して何もない土地に居着き、明確な支配を行った「はじめの一族」がいたということ。
その子ども(子孫か?)アマテラスは高天原に返り咲いて暮らしたり、それを頼ってスサノオがやってくるが悶着(天岩戸事件)を起こして追い返されたり…そこから妄想するのは権力者やその一族が割と頻繁に大陸と日本を行ったり来たりして過ごしていたのではないか、ということ。

今回、こうした形で古事記を読み返して感じたのは、権力を武力で奪い取ったのなら西洋の記録がそうであるように、その武勇をもっと誇ってもよさそうなものなのに、古事記はむしろ「最初に居た人イザナギの後継であること」にモノ凄い執着をしているな〜ということ。『元祖』とか『最初に始めた人』に異常な程大きな敬意や畏怖を払う国民性が私達にはあるのかと古(いにしえ)の日本人の心について思いをはせる。天皇家もやたら「ずっと最初のY染色体が続いてるモン!」を主張して譲らない人が居たりするし…げふんげふん、それはまた別のお話…。

日本人の心といえば、古事記は文学的な要素も評価されていて「神語(かむがたり)」と呼ばれるまさに「神!」な美しい歌が詠み込まれているのも特徴です。子どもの頃に読んだ時はキザったらしく感じた愛の歌も、この年になると沁み入るように詠めるのもまた楽し。折に触れ、何度でも紐解いて欲しい日本の物語。是非、ご一読を。

0 件のコメント:

コメントを投稿