いらっしゃいませ

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2012年11月23日金曜日

残り香あるいは残渣考

前回「土地の記憶」なんて言葉に触れた。本来は地理的な事象で刻まれた形跡とか歴史的に継がれて来た文化なんぞを指す言葉なのかもしれませんが、今回はもっと曖昧でうろん臭い^^; オカルトチックな話なんぞをいたしましょう。
夢幻紳士(高橋葉介)
Anything left after the people died.
It's like a cigarette SCENT.
 食い道楽の私達夫婦は年に一度か二度の割合で南千住にある鰻屋に出かけることに決めている。たいがい初夏の頃だけど、行きそびれると秋口になったり春先になることもある。先日、強風吹きすさぶ中を久しぶりに訪れてある事に気がついた。道すがら風がぱたりと止む場所がある。前に一度、やはり強風の日に出かけた折に同じ事があったことを思い出したので、帰りしなに風が止んだ周辺をぐるりと見回してみた。高架下に入るからその関係で止むんだろう、くらいな感じでいたけれど眼前に小さな寺があることに初めて気がつく。場所は葵の御紋がやたら目立つ南千住回向院のホントに目と鼻の先。

さてお立ち会い。この時代劇でもお馴染みの回向院は吉田松陰やら角界、おっと違った、けどきっとお相撲さんも居るに違いない各界の著名人(?)の墓や供養塔があることで有名。そして忘れちゃいけない、解体新書の腑分け場所。そうです、お江戸の処刑場、小塚原(こづかっぱら)にあることで有名なお寺。ただし刑場跡地そのものは別のお寺になっていると聞いたことがあり、回向院前を通っても刑場のことなど露ほど考えたことがなかった。今、立ち止まった私の目の前にはまさにそのお寺、延命寺の石柱が…。
脳裏に「骨ヶ原」という字面が浮かび、歩き慣れた道で瞬時に見知らぬ土地に跳ばされた感覚に襲われる。あるいは時空を反復横跳びで瞬時に行きつ戻りつしたか。これがゾッとするということなのね。帰宅してすぐに刑場跡地について調べるとドンピシャで今日立ち止まったソコ。そしてふと浮かんだ骨ヶ原という字面も、かつてそこが実際にそう表記されていたことを知った。
オカルト好きや自称霊感持ちの人ならこういうの「引き寄せられた」とか言うんだろうけど、私はそこまでのオカルトファンじゃない。誰がなんで私ごとき一般人を引き寄せたりするもんかい。風が止まったのは高架下に入ったからだし、不吉な字面が脳裏に浮かんだのは多分、昔そういう記述をどっかで読んだ記憶が突如甦ったから。心霊スポット?冗談じゃない。あっこには何もありゃしないよ。だって行きつけの鰻屋があんだよ?心霊スポットなんてアンタ、…冗談じゃないよぅ。

ま、不思議なお話は嫌いじゃないけどね。ちょっと違う空気の場所がある、というのもあながちウソではないと思う。特別な場所には特別な念(雰囲気?)のようなものが宿るらしいけど、今回刑場について調べていたら面白い話に行き当たった。吉田松陰の亡骸を埋葬に来た桂小五郎が、その日偶然腑分けに来ていた大村益次郎(花神@司馬遼太郎 の主人公)に出会ったのもここ小塚原。私に言わせれば幾多のドラマがあった場所こそが特別な場所。こもっているのは土地や建物に刻まれた念なのか、そこを訪れる人の念なのか。たぶん両方。

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