年明け最初にこの話題というのはあんまりですが釈然としないので昨年の続きです。
前回までのあらすじ
隣人が行方不明になりました。きっかけは隣人の友人が「連絡が取れない」と心配して訪ねてきたことから発覚。隣家はその日までは確かに誰かが住んでいたのに友人の訪問を境に無人になった。その数日後、窓が開け放しになっていたことから警察が呼ばれ、しかしながら「出かけてるだけかもしれない」との理由でこれ以上は誰も介入できないと放置の日々。そんな中、留守を預かってる風味の老人(先代からずっと庭の管理を任されていた人物)を玄関先で発見して突撃する須磨人だったが…
この老人の話がどうにもおかしい。漂うインチキおじさん臭が否めない。
昨年、私が突撃した時は隣人のA子さんは筋力が衰える病気になって「頭ははっきりしてるんだけど動けないから電話で話すことはできない」という話だった。留守を預かってるのなら居留守をするのもおかしいし、来訪者に事情を説明してくれても良さそうなものなのに、それを頼んでもなお後日確認をとると友人の所に連絡は来ていなかった。
なぜ、入院に際して家の電話を解約しているのか?老人は人が訪ねて来るまでA子さんの家で暮らしてた風味なのに訪問を機に何故姿をくらましたのか?そもそもこの老人がA子さんの車を乗り回している事情は何なのか?疑問は尽きない。
友人と連絡をとった際にその疑問について話し合った所、友人曰く「え…ちょっと待ってください。その庭師さんはもしかして私の知ってる方とは別人かもしれません。あの人は車の運転はしないはずなのですが…」という衝撃の展開が!庭師〜!あんた一体誰なのよわさ?
どうしたわけか回覧板だけは回してくれている様子だったので年末の最後の回覧板に「民生委員さんにA子さんの所在についてお知らせください」というメモを貼ってポストに入れてみた。すると年明けに老人は民生委員の前に現れたそうな。そしてその老人の言うことにゃA子さんは趣味の研究のために外国を飛び回っていて全然捕まらないんだよとの由。
あんたさ、昨年はA子さんの病状についてすげー細かく説明して自由に動けないって言ってたじゃん?実際、夏に最後に見たと言う近所の人の目撃情報では脳梗塞の後遺症みたいな歩き方してたと言う話もあったから入院話を信じたんだよ?どーゆーことなんだよ?
民生委員としては一人暮らしのA子さんは庭師親子が面倒を見てるという話(老人談)を聞いた段階ですっかり安心してしまいうっかり連絡先とか聞かなかったのよとの由。「隣人の須磨人さんにちゃんと事情を話してあげてくださいと言ったんだけど連絡はないの?」と聞かれたが、ええ、何も言って来ませんよ。
そして先週、またしてもインチキおじさんwが夜になってから隣宅にA子さんの車を横付けにして何か運んでいる気配に気が付いて突撃したのでございます。
「何かあった時のためにあなたの連絡先を伺ってもよろしいですか?お名前はなんとおっしゃるのですか?」
A子さんの友人から聞いた庭師の名前と一致しなければ完全にアウトだったが幸いなことに聞いていた名前と老人の名前は一致した。無理やり聞き出した携帯番号はしかし老人曰く「でもこの番号はもうじき使えなくなるけどね」という不気味な根回し発言。すでに疑いの眼差しで見ているのでどんな説明も煙に巻いているように聞こえて釈然としないが、要約するとA子さんは外国人と結婚した友達のBちゃんと一緒に海外を飛び回ってるから、いつかはわかんないけどそのうち帰って来るから安心して待っていてとのこと。
「あなたは昨年私にA子さんは入院しているとおっしゃいましたよね?」と聞くと「入院してない。元気元気!」とだけ返されて華麗にスルー。海外を飛び回ってる話を訪問して来たお友達にしてあげて欲しいけどあなたが連絡してくださらないなら私からしてもよござんすね?と半ば嫌味を込めて念を押すと「その友達はなんで急に訪ねて来たの?」と逆に質問された。連絡が取れなくなったからだってばよ!
さて、A子さんの友人と早速連絡をとって作戦会議。Bちゃんは実在の人物で老人の持っているA子さん情報はところどころ合っている。しかしかなり古い情報しか持っておらず実はBちゃんとは随分と前に仲違いをしており今は連絡を取り合っていないはずなんだけどという話が聞けた。他にもBちゃんと海外を飛び回っているというのはかなり信憑性に欠ける事情がA子さんにはあることを教えてくれた。さて、どうしたものか。
結局、友人は勇気を出して老人に電話を入れて数々の疑問点を老人にぶつけてくれたそうだ。すると…
老人曰く、A子さんが足が不自由になる病気なのを認めた上で「多分最後のチャンスと思って海外に出かけたんだろう」との由。毎年、正月はBちゃんの所へ行ってたから今回もそうなんだと思う。へい?思うって…つまりはA子さんが海外を飛び回ってるというのはA子さん本人から出た確実な情報ではなかったのでございます。おじいさんもA子さんが今どこでどうしているのかを完全に知らないという。
友人の質問攻めに最終的に老人は「みんながそうやってA子さんの心配をすると悪い電磁波がA子さんのとこに届いてまた体調を悪くする。今は必ず帰ると信じてみんなで待ちましょう」と言われたそうな。
電磁波って…?「多分悪い気が集まるとか、そんな感じのことを言っているのではないかと…。」と、この話をしたら職場の友人にもそれ完全にあかんやつとちゃうの?言われた。
怪しい宗教紛いの団体に取り込まれてしまったのだとしても、それが本人の意思ならやむなし。それでも仲間が面倒を見てくれて世話を受けているならそれも一つの終の住処かもしれない。問題は外界との接触を絶たれて不本意なまま自宅から遠ざけられたりはしていないだろうかという心配。
そもそもね、毎年正月はBちゃんの所に行ってるというけど友人に依れば「それは絶対にない」し隣に住んでる私も断言するけど若い頃ならいざ知らずこの数年間A子さんは正月時期に家を空けてなんかいないよ?
老人がテケトーなことをいうので有耶無耶なれど、A子さんは現に行方知れずになっている訳だ。にも関わらず、このおじいさんが間に入ってトンチンカンなことを周囲に吹聴している限り、誰も捜索願を出せない状況に置かれている。それを知っているのは今のところ、宇宙で私達だけなんだ。さりとてどうすることもできない。実際問題、捜索願は身内でもないとそう簡単には出せないらしい。
私は先代の老夫婦と良い近所付き合いをさせてもらっていたからお二人が子供のいない娘二人の行く末を案じて最後に姉妹が助け合って暮らして行けるようにと2世帯分の広い土地を用意したことを聞き知っている。もし、何か良からぬ企みに巻き込まれて隣の家屋敷が誰かの手に掠め取られるようなことがあればどうにもいたたまれない気持ちだ。お二人はそんなつもりでこの土地を用意した訳ではないのだから。
しかしそういう妄想自体が悪い電磁波?!の元になるのであればなるほど悪い想像は慎むべきであろう。
A子さんの友人とは「A子さんが何事もなく帰宅して、全てが笑い話になるといい。その時は是非またお会いしましょうね」と約束して電話を置いた。十代を共に過ごした自分の友人と重ね合わせて、女の友情がこの先も長く続くことを願わずにはいられない。
はてさて、どなたかこうした案件に良い考えをお持ちの方はお知恵を拝借したいものです。
まじでまじで