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2016年5月28日土曜日

パリ一人旅 街歩き編我が望み

我が唯一つの望みに
私が今回一番見たかった作品がこのクリュニー中世美術館に収蔵された『貴婦人と一角獣』のタペストリー。フランス語で言う所のタピスリ。
数年前に美術館改修に伴い、その期間を利用して日本が預かることは知ってた。知ってたのに鑑賞しそこねて「やっぱ見ればよかった〜〜!」とホゾを噛み続けていた。今回のパリ行でガイドブックを流し読みした時に、このタピスリがここの収蔵品であったことを知り是が非でも行こうと計画していた。何を見損ねたとしても、これさえ見られれば今回のパリ旅行は御の字、とまで考えた我が唯一つの望み。とても良かったです。

謎めいた6点からなる豪奢な壁掛け。どの絵柄も獅子(リヨンのダジャレ)と一角獣(ヴィストのダジャレ)にかしずかれた貴婦人が描かれており、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚という分かり易い五感を題材にした絵図とともにこの謎の一帳が加わっている。
「我が唯一つの望み」と書かれた天幕は様々に解釈され、ある者は第六感の開眼ともいい、ある者は単純に婚姻を意味するといい、まこと興味は尽きない。
他のタピスリでは貴婦人が宝飾品をまとっているのに、この一帳だけは宝飾品を手にしている。侍女の捧げ持つ箱に宝飾品を仕舞っているのか、それとも取り出すところなのか、それも謎の一つ。真相を知るにはこの目で確かめ感じとってくるしかないではないか。

私の印象では、彼女は宝飾品はおろか世俗の喜びにも別れを告げているところ。遁世、あるいは得度、帰依。なんとなればこの千花模様や小動物達が迦陵頻伽図(かりょうびんがず)に通じるものがあって、東洋人的にはどうしてもそういう目で見てしまうのよね。
まあ現実的なところでは「リヨンのヴィスト家(旗の三日月がそれを顕すといわれている)の婚礼に際して用意された縁起物」くらいが妥当なんだろうけどね。その大きさ、見事さ、美しさから心震える展示室でした。
奇しくもこの日、このタピスリを物語に織り込んだ「ガンダムユニコーン」のTV放送開始日であったことも追記しておく。それ絡みですかね、ここは日本人の来訪率が高かったです。私もそうですけど^^
もう一つのユニコーン
さておまけ。もう一つのユニコーンです。こちらはおそらく「聖エティエンヌの生涯」の付属展示物ではないかと思うのですが(説明文を読むのを諦めた^^;)、石で打たれ頭から血を流した聖職者の傍らに獅子と一角獣、そして動物達が侍っている姿です。「貴婦人と一角獣」の後でこれを見ると、やはりあの女性はいと尊き次元へと移られる所ではなかったか、と思わされる。
浴場の遺跡
我が望み(desir)は欲望であると同時に意志である、という。我が意志は、この余韻に包まれたまま宿へ帰ることにした。実際は帰路でサンマルタンに足を伸ばしたりエクレア食べたり、寄り道しまくりましたけど。なんだかんだでこの日の歩行距離は18.3km。普段から足腰鍛えてなければ翌日は動けなくなってたと思う。それくらい、欲張り出すとキリがないのがパリの街だな〜としみじみ。ムリのない行程で計画してください。

クリュニーは建物自体が3〜5世紀のローマ時代の公衆浴場跡に建てられているという歴史好きにはたまらない磁力を持っている。実際の遺跡部分も展示物に含まれるので存分にいにしえビームを浴びる事ができますよ。表通りに公園を兼ねた庭園があり、入り口が見つけにくいという点にだけ注意して足をお運びください。北面が表通りになっていて、その真裏の細い通りに面した塀の一部に小さな入り口があります。

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